チャールズ・アイヴズの音楽


交響曲第3 番 《キャンプ・ミーティング》(1904)
第1交響曲第2交響曲第4交響曲
器楽曲、声楽・合唱曲

作品について
キャンプ・ミーティングとはキリスト教の伝道集会のことで、19世紀コ ネチカット州に起こった宗教リヴァイヴァル運動と関連した宗教行事を指す。当時キリスト教の行事は形がい化しているという批判があり、この運動では、礼拝 から来る精神的なものや内的なものを復活させようさせた。具体的には、普通の教会に行かず山の中や川のほとりでキャンプを張り、共同生活を営みながら聖書 を読む活動があったようだ。これを音楽で表現したのがアイヴズの第3交響曲《キャンプ・ミーティング》である。

アイヴズはこの交響曲を、1901年から1902年にかけて作られたオルガン曲をもとにして1904年に作曲しており、11年に改訂もおこなっている。し かし作品の初演は1946年4月5日、ルー・ハリソン指揮ニューヨーク・リトル・シンフォニーによって行われた。作曲から初演まで、実に40年以上の月日 を経ているのである。この作品によってアイヴズはピューリッツァー賞を獲得しているが、アイヴズはすでに70歳を越えていた。

素朴な味わいのする作品で、アイヴズの作品の中ではかなり保守的な作風と考えられる。グスタフ・マーラーがこの交響曲に感動し、ヨーロッパで演奏したいと 考えていたそうだが、実現する前に亡くなってしまったという逸話もあるそうだ。

3つの楽章で構成されているが、それぞれの楽章には<Old Folks Gatherlin' 老年仲間の集い>、<Children's Day 子どもの日>、<Communion 聖体拝領>というタイトルが付いている。(05.04.27.)

レナード・バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルハー モニック
米Sony Classical SMK 60202
アイヴズ  Sym2, 3 バーンスタイン バーンスタインはアイヴズの交響曲のうち、第2番を2回録音しているが、第3番に関しては このニューヨーク・フィルのもののみが、商業録音となっている。その他には《祭日交響曲》を、同オーケストラと録音している。

おそらくこの録音には現在クリティカル・エディションとして使われている楽譜よりも古い版が使われているのだろう。自筆譜に「shadow」と書かれてい て、古い出版譜では省略されてしまった箇所があるのだが、この版ではその「shadow」の箇所は全く聴こえてこない。第1楽章の最後は特に面白さが違っ てくるので、残念である。

それと演奏自体にやや未消化な部分もあり、楽譜とは明らかに違う箇所もなきにしもあらずといったところ(楽譜を見ずに聴けば、おそらく大したことはないだ ろう)。やや音楽の流れが緩くなってしまうところもある。しかしバーンスタインらしいといえばバーンスタインらしく、元気はつらつとしたところに共感する リスナーはいるだろう。
                                   
一方一緒に収録された第2交響曲は名演だし、もともと第2交響曲の LP発売時にボーナスとして付 属していた17センチ盤に収録された『バーンスタインが語るアイヴズ』も面白い。第2交響曲の特定の小節におけるたくさんの引用の同時進行や、多 様な音楽からの引用の実例が紹介されている。なおバーンスタインの話した内容はライナーノートに記載されている(英独仏の3か国語)。 (05.5.11.)
ユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団
日BMGファンハウス BVCC-38301
アイヴズ 交2+3 オーマンディ

オルフェウス室内管弦楽団
独Grammophon



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