番組がコープランドから始まったのは、もういかにも、って感じです。<市民のためのファンファーレ>なんて、おそらくガーシュインの<ラプソディ・イン・ブルー>よりも演奏される確率が高いですよね(ま、短いというのもあるんですが)。でも今日流れたのは<エンブレム>という吹奏楽の作品。海兵隊軍楽隊がレナード・スラトキンによって指揮されたもので、今年の1月収録のものでした。つづいては、スーザの<ワシントン・ポスト>。残念ながら、海兵隊が普段演奏するようなゆったりとしたテンポではなくて、演奏会用のアップテンポで、ちょっとがっかり。まぁ演奏会だからそうなんでしょうか。
その他には、ベトナム戦争の時は一兵士として働き、ボストンのバークレー音楽院に学んだ作曲家、James "Kimo" WilliamsのSymphony for the Sons of 'Namという20分強の作品がメイン・フィーチャーでした。この作品、10も楽章もあるのですが、正直いって安ぼったい映画音楽のできそこないみたい作品で、ちょっとラジオに乗せるのも恥ずかしいんじゃないかな、なんて思いました。まぁ「企画モノ」ということだったんでしょうか。
2時間目のプログラムでは、フィドル音楽とクラシック音楽を融合しようとしたJay UngarとMolly Mason(ナッシュヴィルのフィドル奏者)の共作によるHarvest Home Suiteという曲の世界初演(とてもヨーロッパのオーケストラが演奏するとも思えないけれど)の模様が紹介されました。Williamsの作品よりはいくらか良くできているとは思ったけれど、やっぱりお気楽なアメリカ音楽という感じ。まぁそういうのがアメリカっぽいってことなんでしょうか。アンコールには、フィドル民謡であるBonaparte's Retreatとそれにもとづいたコープランドの<<ホーダウン>>(<ロデオ>組曲の最後)がミックスされて演奏され、フィドルとオーケストラの仲良しセッションと相成りました。まぁ、これはこれでアンコールだったのでオチャラケ、ということでしょうか。オケもナッシュビル室内管弦楽団ということなので、お互い共感するところがあったのでしょうね。
Performance Todayによると、この度シンシナティに、「アメリカ・クラシック音楽の殿堂」というものを作るらしく、2年後には博物館がお目見えするということらしいです。その中に入る人々は、25人決まっていて、とりあえず、順不同に列挙してみますね。
エリオット・カーター、レオンティン・プライス、ガンサー・シュラー、ロバート・ショー、アイザック・スターン(以上存命の音楽家)、メリアン・アンダーソン、サミュエル・バーバー、レナード・バーンスタイン、デューク・エリントン、ジョージ・ガーシュイン、ハワード・ハンソン、チャールズ・アイヴズ、スコット・ジョプリン、セルゲイ・クーゼヴィツキー、ジョン・ノウルズ・ペイン、フリッツ・ライナー、アーノルド・シェーンベルク、ロジャー・セッションズ、ニコラス・スロニムスキー、レオポルド・ストコフスキー、イーゴル・ストラヴィンスキー、セオドール・トーマス、アルトゥーロ・トスカニーニ、米国海兵隊隊軍楽隊、以上です。
「デューク・エリントンってクラシックかなぁ?」とか、「シェーンベルクとストラヴィンスキーを入れるのは無理がある」という声も聞こえてきそうですが、この選び方には、結構アメリカのクラシックを幅広く考えて、ビックネームを入れようという意図が感じられてしまいますね。
面白いのは、演奏団体としては、ニューヨーク・フィルハーモニックやボストン交響楽団ではなく、海兵隊軍楽隊が選ばれていること。スーザがいたということもありますし、やっぱり愛国主義的音楽を演奏する代表ですものね。
しかし愛国的音楽といっても、アメリカって多いですねぇ。マーチの数はともかく、なんといっても独立戦争の<ヤンキー・ドゥードル>から、ネタには困りません。やっぱり戦争を勝ち抜いてきたから、軍楽も盛んなわけです。日本で今軍歌なんか愛国主義で歌う人なんて、政治団体の方くらいではないですか? アメリカ人が、これだけ自分の国家を信用できるのも、愛国主義的音楽のお陰かな???
ま、それはともかく、今日は戦没者追悼日という割には、割と楽しい曲がたくさん流れておりました。昨日もワシントンD. C.からエリック・カンゼル指揮のコンサートがテレビ放送されました(こちらはもっとポピュラー音楽や愛国主義音楽でいっぱい)。今年の独立記念日はもっと盛大になるでしょうね。おそらくボストン・ポップスのチャールズ川でのコンサートも中継されるでしょう。
日本の建国記念日って、どんな音楽番組があるんでしょうね? ちょっと考えてしまいました。 (06.1.3. 訂正)