Fanfare in 19-note Equal Tuning, Op. 28a (2:25); Twelve Microtonal
Etudes for Electronic Music Media, Op. 28 (43:34); Suite for Guitar in
15-note Equal Tuning, Op. 33 (9:38)
イエール大学でメシアンやヒンデミットに学び、その後も個性的な作曲家の一人とみなされているブラックウッド。シカゴ大学で1958年まで教鞭を取り、現在は名誉教授となっているそうだ。 このCDに収めされているのは、大半がブラックウッドの調律法によって作られた音階による、電子楽器のために作品。聴いた感じでは、鍵盤楽器的なメディアではないかと思う。2番目の作品は、12の楽章それぞれが別の音階にもとづいているようだが(16、18、21、23、13、15、17、22、24、14、20、19の音による平均律)、音楽そのものが極めて因習的なので、その理論的な新しさと音楽的な古さとのギャップにとまどいを感じてしまった。(02.1.16.) |
The banshee (2:19) ; Aeolian harp (1:28) ; Piano piece (3:59)/ Henry
Cowell -- From Sonatas and interludes / John Cage (16:06) -- Sonata for
microtonal piano / Ben Johnston (11:01) -- Studies for player piano / Conlon
Nancarrow (11:41).
実験音楽の作曲家のピアノ作品を集めた、充実のコンピレーション・アルバム。カウエルの内部奏法作品、ケージの《ソナタとインターリュード》、ナンカローの《Studies》から、それぞれ数曲が録音されているが、微分音作品としては、ベン・ジョンストンの微分音ピアノのためのソナタ(約11分)が面白い。かつて長岡鉄男も、同音源のLP盤を推薦していた。(02.1.4.) |
C. Ives, Three quarter-tone pieces, for 2 pianos; T. Macero, One-three
Quarters, for chamber ensemble and 2 pianos; C. Hampton, Triple
play, for ondes Martenot and 2 pianos; D. Lybbert, Lines for
the fallen, for soprano and 2 pianos; C. Hampton, Catchup, for tape
recorder and 2
pianos. アルバム・タイトルの通り、四分音を使った作品を集めたもの。おなじみアイヴズの2台のピアノのための作品に加え、カルヴィン・ハンプトンのオンド・マルトノと2台のピアノの作品が見事だ。じわじわと感情が高ぶり、最後にクラッシュするその音楽は、無気味な音色とともに迫ってくる。他に声楽や電子メディアを使った作品も入っている。60年代を彷佛とさせるこのアルバム、筆者個人としては是非CD化して欲しいものの一つ。(02.1.4.) |
Erling Wold: Dance of the Testifers; Jules Siegel: Prelude and Fugue
for the Rest of Us etc.
純正律によって調律された調性音楽による新作集。ほとんどが電子楽器を使ったもので、作風は古典的なものから、よりロマンティックなものまで。ハリー・パーチのUlysees Departs from the Edge of the Worldは、収録された作品の中ではもっともおなじみのもの。ギターのための作品もある。 奇妙なもので、ギターの作品の場合は、因習的な作風でも普通に受けつけられるし、パーチはすでに耳がなれている。しかし電子音による純正律作品は、どうも微分音音楽に聞こえてしまう。よほど平均律が電子楽器の常識という耳ができているのだろうか。不思議である。和音が純正律によって、より美しく響くというのは分かっているつもりでも、旋律の進行としてはどうなのか。 あるいは不自然さを感じるのは、私の音律感覚のせいなのか。 他の人たちが、こういった音楽をどう聴くのか興味がある。(01.8.26.)
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