Ryko
(MGM) RCD 10741
黒澤明の「七人の侍」の物語を西部・メキシコの設定の中になぞらえた「荒野の七人」(1960)は、西部劇映画のモニュメンタルな作品の一つであろう。驚くべきことに、この映画のサウンドトラックは1998年まで発売されたことがなかったという(「帰ってきた荒野の七人」という映画のはあったそうだが)。有名なメインテーマの演奏はずば抜けて迫力があり、ステレオだのモノラルだのという次元を忘れてしまう(当CDはモノラル録音である)。その切れ味の良さは終始一貫しており、映画を見ていないと、ややオーバーアクションにさえ聞こえるかもしれない。
西部劇というと、ヨーロッパ系アメリカ人が「インディアン」を打ち負かすという構図が考えられるが、ここではメキシコ人の村民とアメリカ人用心棒が、メキシコ系の悪役を打倒する。テーマ音楽からも分かるように、ウェスタン風の音楽とラテン・アメリカの香り(ギターの響きが決定的)が一緒になっているのには、そういう物語設定が関係しているのだろう。
エルマー・バーンスタインはコープランドの弟子であったそうだが、その影響が顕著にでているのは、フィナーレの冒頭であろう。しかしその他に直接的な影響をみるのは難しい。《ビリー・ザ・キッド》というコープランド作品もあったが、それがどのくらいカウボーイの映画音楽として定着したのか、筆者の限られた知識ではまだ良く分からないところである。
解説は映画のことが主体に書かれており、音楽的な面白さを知るには物足りない。しかし、CDを聞くだけでも、バーンスタインのエネルギッシュな音楽は楽しめる(管弦楽法のうまさは、もはや映画音楽の作曲家としては必須条件か)。ただし、映画の場面が思いだせないと、例えば、どうして特定の旋律・動機が予期せぬところで繰り返されているのかが分からないだろう。これは、映画音楽の聴き方の難しいところかもしれない。音楽が物語や映像に密着しているからこそ、従来の音楽形式論では通用しないところが映画音楽にはあるようだ。(2000.1.22.、2002.7.25. 訂正)