音の日記


車の音(11/12/96)


車のモーター音というのは、もっとも退屈な音の一つかもしれない。同じ音程の音が延々と鳴り続けているのだから。でも、踏み込んだ時には多少音程があがり、強さも増すので、全くいつでも同じという訳ではないかもしれない。この音の変化が快感になると、いわゆる「カーきち」になるのだろうか? もちろんマニュアルシフトの車の方が、音の変化としては断然面白い。加速する過程で音程が少しずつ上がり、シフトするときには、スピードが緩むので、短くさがる。次のギアに入るとき、クラッチのつなぎ方によって、頭にアクセントがついて上行グリッサンドとなる。オートマ車の場合は、機械が勝手にギアを変えるので、音程の変化も自分ではコントロールできない。

最近テレビのニュースで見たのだが、米国のある車会社が、人間にとって心地よい音のでるエンジンを開発しているというレポートがあった。実際に何種類かのエンジン音の録音を一般の人に聞き比べてもらって、自社の製品の良さをアピールしようとする実験も行っていた。たかがエンジンとはいっても、独特の音を持つものもあり、かの有名なハーレー・ダヴィッドソンのエンジンは、残念ながらその実験の中では、一番の嫌われものだった。ハーレー狂(教?)の人たちは、よくあのエンジンに惚れ込むというが、きっとその独特な音にも魅了されているのではないかと思う。

車の音といえば、アメリカの車の多くに盗難防止用のアラームが付いている。犯罪の国アメリカでは、ドアを開けようとすると、けたたましいアラームが鳴り響くようになっている。このアラームは、振動によって反応するので、人が動かさなくても鳴り出してしまう場合がある。その代表的な例が、雷鳴時である。今住んでいるフロリダ州のタラハッシーでは、頻繁ににわか雷雨があり、その雷の音も並大抵のものではない。落雷することもそうまれではないだろう。そして、雷鳴が「ドカーン」となるやいなや、その音の振動によって、アラームのついた車が一斉に「ヒュウヒュウヒュウヒュウヒュウヒュウ、ワウワウワウワウワウワウ、ホウホウホウホウホウホウ、プルルル、プルルル、プルルル、プぅ〜、プぅ〜、ビービービービービービ、ピーポーピーポーピーポー」と鳴り出す。いま書いたように、アラームはいろんな種類があり、それらがセットになっていて、大抵この順序でなることになっている(会社によって多少違いがある)。

私は、とても面白いと感じていて、いつか録音したいと思っているのだが、なかなか成功しない。友人はこの音が嫌いで、音を聞くたびいらいらしていたのだが、私が、アラームの真似をしてみせたところ、「そりゃ面白いね。確かにお前の言うとおりになってるな」と、楽しみを共有してくれた。

みなさん、アメリカに来たとき、車から変な音が聞こえたら、耳をすませてみて下さい。警告音にも、本当にバラエティがあるものです。



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