メモ帳8

寮で一番怖いもの?

(98.5.5.)

寮の生活はそんなに悪くありません。アパートとほとんどかわりません。ボストン大学のように、絶対学生食堂で食べなければならないという規則もありません。台所はついています。ただ私の住んでいるところは、もともと一人用のアパートを2人で共用していることで、狭いのが難点です(大学構外にある寮には、1人部屋もたくさんあるます)。でも家賃が一人270ドルというのは安いです。しかも電話の市内通話は無料(従ってインターネットは無料)だし、水道・電気代も含まれています(フロリダは暑いので、冷房代がバカにならない)。アパートに住むとなると家賃だけで350ドル以上は覚悟しなければならないし(ただし数人で大きな郊外のアパートに住む場合はかなり安く住める)、それに電気代・水道代で最高100ドルは余計にかかる。さらに家具も一式買わなければならない(冷蔵庫・冷暖房・電熱器は備え付けられているし、コインランドリーもある)。やっぱりそういうお金のことを優先すると、寮に住むという選択も当然あります。

学部生の寮になると、毎日パーティの連続だとか、うるさい・汚いとか、いろいろ悪い噂も耳にしますが、私の住む所(ロジャース・ホールという8階建てのビル)は、高年齢の学部生(例えば軍隊にしばらくいたとか、社会人していたとか)と大学院生中心なので、とても静かでみんな大人です(ただし6階に集まってテレビを観ている連中はいつも騒がしい)。

そんな寮にも、怖いものが一つあります。それはエレベーター。なんかこれ、しょっちゅう途中で止まるようなんです。で、途中で止まって出られなくなる訳なんですが、ではどうするかが問題です。日本ならばインターフォンがついていて外部とつながるというのが常識ですが、ここのエレベーターは古いのでインターフォンがついてないんですね。

じゃあどうするのか。それはエレベーターのボタンの一番上にあるアラーム(実際はリーンと鳴るベル)を鳴らし、誰か助けに来るのをひたすら待つということになるんです。私の部屋はエレベーターからは一番遠いのですが、アラームのリーンという音が聞こえることがあるんです。「あ、また止まっている〜!」と思う訳です。私のような冷たい人間と違ってルームメートは即座にエレベーターに駆けつけて、「大丈夫か〜」なんて言うんですね。こういう時ってアメリカ人も偉いなぁと思う訳なんですが、大抵数人の人が集まります(そうでないときもあったけれど…あれ、寒い…)。

実は私も一度やられたことがあります(いや、実際は別のビルでも体験しているので厳密には2度目ですが)。で、どうしたか。なぜか直観的にエレベータのON./OFFスイッチを一度OFFにしてONにする。するとなぜか動くんです。ということで、この時はなんとかアラームを鳴らさずにすみました。

古いエレベーターというのは、本当に困ります。例えば、行きたい階のボタンを押すと、その押したボタンが光るので、次にどの階に止まるかが分かるというのがありますね。これもないんです。例えば、私のいる7階からコインランドリーのある3階に行こうとした時のことなのですが、エレベーターが着いたので中に入っていくと、そこにいた黒人が「あれ、これ2階じゃないの?」とかいうではありませんか。そうです、2のボタンを押したはずなのに、なぜか7階に到着という訳です。「本当にこのエレベーターって最悪だよね。全然ちゃんと動かない」と、とりあえず会話を取り繕ってみました。そしてもう一度2のボタンを押して出発進行! 私もランドリーのある3階のボタンをしっかり押しました。で、到着したのは2階!! 私の階は無視されてしまったのです。そこで黒人と2階で別れた後、もう一度3のボタンを押す。それでようやく3階に到着という訳です。ボタンがちゃんと光っていれば、とりあえず押したぞ、ということがはっきりするのですが、この場合私のボタンの押し方が悪かったのか、それとも押したのに反応しなかったのか分からないのです。

本当に、こういう余計なところで私の体力を使わせてしまうところが、やっぱりアメリカだなぁ、と思います。技術大国アメリカ? きっとそれは最先端をいく研究者たちのことなのでしょう。


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