メモ帳39

雑記

2002.1.15.アップロード

2002.7.21.

フロリダはいわゆる南部にあたるのだが、気候のせいか、あまり北の方では見られないものがある。たとえば、私の住居の前にある木(写真1)は、何となく亜熱帯っぽい形のもの。南の島といった印象さえ醸し出している。何という種類なのかよく分かっていないのだが、時々思い出したかのように果実をつけることがある(写真2)。大きさ的にはプチ・トマトよりも一周り大きく、色はオレンジ(写真3)。さすがに食べてみようとは思わないが、時々誰かが踏み付けるのか、柑橘系の臭いが辺りにただようことがあって、とても不思議な感じだ。
 
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2002.7.22.

夜、マイアミ・サブス(ファーストフードの体裁をとりながら、その場で調理する分味がマシなレストラン)で夕食を食べていたら、ホームレスっぽい人が外にいるのに気が付いた。いつも「小銭くれ」と近寄ってきて、お金のあまりない私は、あまり心地よく思わないのだが、大抵はポケットにある小銭をあげるようにしている。「ハンバーガー食わせてくれ」と言われたのには、さすがにまいったが(それはできんなぁ〜)。

ところが今回は私が中で食べている間に外の数人の若者たちがホームレスと遭遇することになった。やはり例のごとく各人ポケットから小銭を出していた。しかし、しばらく見ていると、このホームレスと若者が和気あいあいと会話を楽しんでいるではないか。ホームレスの人の話がよっぽど面白かったのか、お互いに自己紹介をするにまで至っていた。こんなこともあるんだなあと感心したのだった。

タラハシーみたいな小さな町だと、日本の地方都市のように「人が暖かい」ことがある。大学の事務にしても、ボストン大学の、いかにも嫌々やっているの感じとは違って、とてもスムーズだ(もっとも最近はウェブ化が進み、授業の登録もインタネーットが普通になった。家賃や図書館の延滞料もオンラインで払える)。地方には文化的刺激が少ないのは認めなければならないが、やはり住み心地の良さはあるのだ。


2002.7.24.

インターネットの北信越の掲示板を見ていたら、北陸新幹線の是非を巡る議論がなされていた。私はどちらかというと、あまり乗り気ではない方。富山空港の収益が常時黒字で、路線も確実に増えつつあるからだ。同じ電車の路線を作るのだったら、例えば富山駅から空港に伸びる路線で、中央商店街、近代美術館、二口のショッピング・エリア、競技場と結んでいった方が、都市計画としてはうまくいくような気がする。それらは商業・文化の拠点なのだから。新幹線の値段で、この路線の交通機関があるといいなあと思う(路線バスなら、すでにあるのかな?)。

新潟の例を考えれば、新幹線が出来てからは、東京から新潟ではなく、新潟から東京へという人の流れが強くなった(ストロー効果とも言われているようだ)。唯一東京からという流れは、越後湯沢だろう。バブル期に合わせて、リゾート・マンションが乱立し、当時『新潟日報』では「東京都湯沢町」というルポルタージュが連載され、後に単行本にもなった。経済的に湯沢は確かに潤ったようだが、その代償も大きかった。当時は住民の数が増加するとともに、ゴミの問題など、モラルの低下が懸念されていたように思う。そして現在は廃虚となりつつある、こういったマンションの処理だろうか。長野のオリンピック同様、「祭りの後」をどうするのかは、あまり考えられていないようだ。

しかし日本にとって、なぜかこの鉄道というのは都市ステータスの一つになっているように思う。こういったつまらない「威信」や「プライド」はない方がいいように思うのだが、新幹線の有無でつまらない序列化を計る人間もいるのだろう(結局東京の地位は不動なのだし、意味がないと思うが)。ちなみにアメリカの場合は地理的に大きすぎるということもあって、鉄道はあまり発達していない。自動車か飛行機が移動の大半を占めるようになる。私の住むタラハシーでは車社会が極端に進んでおり、車がないと、本当にどこにも行けない状態だ。何しろ町から空港までのバス路線さえないのだ。

近年富山はますますアメリカ化している。例えばダウンタウンがビジネス街へと変貌しつつあること、ショッピングが郊外の大ショッピング・センター中心になりつつあること。しかし環境問題も叫ばれるなか、タラハシーのような都市形態は必ずしも好ましいとは思っていない。何とかならないものだろうか。


2002.8.10.

文化…というよりも流行発信地として東京が持つ役割は巨大だ。民放系列局が少ないため、東京で放送されたテレビ番組が数週間遅れで地方に配送されるのがイヤな人も少なくない(昔は私もそうだった)。しかし流行やテレビ番組にそれほどこだわりがなくなると、こういうことに興味がなくなってくることも確か。考えてみれば、流行は捨てられていく運命にさえあるといえる。地方の人間がほしいのは本当に文化なのか? それとも流行なのか?

テレビ局の数が少ないといって嘆いていたのも過去のことのように思えてくる。ケーブルテレビがあると、途端に20以上になるからだ。地上波ネットワークの数は確かに3つと少ないが、そんなにチャンネルがあっても見る番組が少なければ意味がない。

ところでファッションや流行はすべてアメリカから来ているのだろうか? 時々疑問に思う。例えば日本からくる観光客の格好がそのままアメリカに溶け込むのかというと、やはり違う。むしろアメリカに住む人たちの方が地味であることに気がつくのではないだろうか。もちろんヨーロッパの流れもあるだろうけれど、それでもヨーロッパそのもではないのだろうし。どこかで「作られている」ものはあると思うのだが。

再び富山関連の掲示板を覗く。「スタバ(スターバックス・コーヒー)」が、ついにどこどこの大型ショッピングセンターにできる云々と書いてあって苦笑。やはりアメリカにあるお店→東京に出て流行→地方が追いかけるという構造なのだなあ。そのスターバックス自身は、私がこの町に来て以来あるはずなのだから、すでに5年以上はあるのだろう。シアトルが発祥地というこのコーヒー・ショップ、個人的には本屋さん付属という感じ(いつもバーンズ&ノーブルズに入っている)。本屋自体は好きなので、ついでにこの「スタバ」には何度か入ったことがある。現在はあまり好きでなくなったので行かなくなった。友人によると、コーヒー豆が煎りすぎとも。まあ、私自身敢然として嫌いな訳ではないが、Au Bon Painの方が好みかもしれない。でも「焼き立てパン屋さん」は今どき日本にはあちこちにあるから、このチェーン店の日本進出は難しいのかな?

アメリカのお店といえば、ニューオーリンズのカフェ・デュモンが東京に多くあるのにも驚いたというのが本当。本家に比較してベニエのサイズは小さく、コーヒーのサイズも日本式だが、ベニエそのものの味は同じで懐かしい感じがした。しかしあまり数が多いと、ありがたみがなくなるような。カフェ・デュモン、アメリカではニューオーリンズ以外にお店はあるのだろうか?

シナボン流行現象も面白かった。私自身流行に疎いので、シナボンが全米規模なのかローカルなのか知らなかったのだが(一応いろんな州にあるということは分かった)、日本に出店された時30分待ちの行列が出来たというのだ。妹がこちらに来た時には待ち時間なしでシナモンロールを食べたのだが、コーヒーと一緒に食べたので、結構おいしかった記憶がある(友人の白人アメリカ人などは「シナボン」ときいて「うぇっ」と言っていたが、私は嫌いではない)。でもあの甘さはいかにもアメリカ的。日本で大流行というのはちょっと考えにくかったのである。どうやら行列の方は物珍しさも手伝っての流行だったようだが、そのうち地方にも「追っかけ」ができるのだろうか。

「地元から文化発信を」というスローガンはよくみかけるが、大半の人はそんなことに関心はないようだ。ほしいのはどこか他の地域、「都会」(大半の人にとって、都会はイコール東京である)にある「流行」なのだ。なるほど、ではそれに対抗して、一度は地方から都会へと流れる流行発信をしたいという気持ちは分かる。しかしそれは商売と密接に関わることだから、地方からの発信は難しいのである。ある意味それは無理な注文かもしれない。流行に疎い私が唯一思い浮かぶのは、東京を飛び越して現地から直接情報を得ることくらい。しかし、それでは東京で作られた流行と違うことはあり得る。それを「独自」とみるか「流行から外れたもの」と見るかは地方の人々の見識だろう。雑誌で読む情報自体がすでに東京のフィルターを通っているところが余計難しい。

富山は金沢(石川ではない)に対するライバル意識が強い。何でも流行(の衣服)を仕入れるには金沢に行くのだそうだ。ところが掲示板などを見ると、金沢には東京で流行した確実なもの、保守的なものしかないのだという。うがった見方をすれば、その東京で流行したものそのものの存在も怪しいものなのだが、結局大資本の集まるところに情報も集まるということなのだろうか。新潟は遠いというのもあるが、富山の人はあまり新潟の方には関心はないようだ。規模的には、金沢よりもずっと大きい中央商店街があるのだが。もっともあそこまでいく時間があれば、東京や大阪にまで行くという人が大半だろうから、なぜ新潟へということなのだろう。でも地方都市のあり方としては興味深かった。

でも一番楽なのは、流行のものよりも、自分が良いと思うものを手に入る範囲で持つということだと思う。

ところで昨日おもしろいサイトをみつけた。れとろ看板写真館というのだそうだが、こういうのをまとめてみると、これも一つの文化なのだなあ、と思わざるを得ない。


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