メモ帳38

雑記

2002.7.17.アップロード

2002.5.2.

大学の本屋にて、偶然手にした『Foreign Policy』誌に、日本に関する長めの論説があったので、思わず食い入るように読んでしまった(どうやらウェブサイトでも全文読めるようだ)。1980年代、日本というのは経済的スーパーパワーとして世界中の注目を集めていたが、いま10年来の不況でこれからの行く末は分からなくなっている。しかしファッションや文化という面では、もしかするとアメリカの驚異となる存在になるのではないかという論考。もともと若者が西洋、特にアメリカに憧れて国籍不明の商品を次々に生み出したがゆえに、かえって外国にも受け入れやすい文化を作ったのではないか、アジアではアメリカを経由せずに日本製のアメリカ風音楽やファッションが流れている、などなど。他には、ハロー・キティーなど、アメリカに大量に輸入されていることや、もともとのテレビゲームやアニメのブームもあって、少しずつ「文化大国」としての日本の認識が高まりつつあるといったことにも言及されている。しかし伝統的な文化となるとまた違っていて、例えば相撲のような、いかにも日本的なものはあまり輸出されず、ハワイから曙のような横綱は誕生しているにせよ、日本人がそれほど商業的な動きをしない文化もあるとのこと。でも、商業的可能性はこの記者も認めていて、相撲博物館などに相撲グッズの一つも置いてないことに、驚いているようだ。メジャーリーグの商魂のたくましさを考えると信じられないと。

内容が多岐にわたり、文化紹介としての側面も大きい記事だが、古くからの日本車・和食の人気に加えて、海外の若者層における日本文化への関心度は高まりつつあるようだ。こういった日本の商品を海外に売り込むには経済的基盤が必要だが、日本の経済の復興を待たずにできるだろうとも述べている。

そういえば身近な例では、一番近いアメリカの普通のスーパーに、お寿司がパックで売られるようになったことがある。もちろんカリフォルニア巻きなどアメリカ産の怪しいものもあるが(巻き寿司は値段が安いこともあって、学生には人気がある)、時々買いたくなってしまうのも心情だ。ちなみに、日本語を学ぶ学生には、やはりアニメや日本映画のファンが多い。

もしかするとこの記事は、アメリカからの「日本、頑張れよ」という信号なのかもしれない。(02.7.24.改訂)


2002.5.9.

家庭内暴力や銃による事故の絶えないアメリカ。タラハシーは小さな町だが、それでも強盗や殺人が毎日のように報道されている。しかしアメリカ人の暴力に対する考え方は極めて慎重だ。先日『リング』という日本映画を日本人学生会主催で上映したのだが、その中に男優が女優を平手打ちする場所があった。「バカヤロー」と喝を入れる一コマで、日本のドラマや映画では、感情の高ぶりとともに自然な展開として見られる場面と思われる。しかし会場のアメリカ人からは「ひえ〜」「うわ〜」といったような、恐怖にも似た冷ややかな反応が見られた。ああ、そうか、アメリカ人だな、と思うところもあったにせよ、こんなところにも否定的な反応をするのか、と認識を新たにした。

そういえば、宮崎駿のアニメ『おもひでぽろぽろ』について、アメリカのアニメファンが集うサイトを見ていたら、「よくある質問集」(FAQ)の場所に「主人公は父親に虐待されていたのか」という項目のあったのが印象に残った。昔風の親父さんで、権威があって、時に手を出すといった、日本人にとってはそれほど不思議な光景でもなさそうなのだが、アメリカの父親像でああいうものは考えにくいのかな、と思うしかなかった。そういえば日本の親父さんというのは、すぐ「こら〜っ」怒るイメージがあって、それが程度ステレオタイプになっているように思う。いわゆる「パパ」というのとは一線を画しているというべきか。アメリカには暴力的な側面もあるし、家庭内暴力の深刻な実例もある。しかし、それとは無縁の一般の父親ということでは、むしろ50年代のファミリードラマに見られるような物分かりのよい父親がより一般的なのだろう。


2002.5.30.

夜、本を読んでいたら蚊が本に止まった。すかさず手で叩き付けた。ところがその瞬間蚊の体内に蓄積されていた(?)血がどばっと本に広がった。慌ててティッシュペーパーで拭き取ったのだが、せっかくの本が無惨な姿になってしまった(→写真)。ちなみにこの本は非常にかわいそうなヤツで、昼間に食べていた焼そばの皿の上に落ちたこともあり、その底は焼そばソースで彩られている。そもそも勉強机で食べ物を食べること自体が間違っていると言わざるを得ないのだが、食べ物用のテーブルは、その一面がCDに占拠されてしまっているのだ。そろそろ対策を考えねばならないな。箱を買って、いらなさそうなものは日本に送るしかないようだ。


2002.6.9.

今朝教会の礼拝が始まろうという時間に、いつも会うアメリカ人が近付いて来て、「日本がロシアを負かしたよ」と言ってきた。お恥ずかしながら、一瞬何のことか分からずにとまどっていたら、「サッカーだよ」と付け足した。ワールドカップについては知っていたが、第2ラウンド進出は微妙なところと言われていたし、気にはなっていたが、飛び上がるほどうれしかったというのが正直なところ。今回は主催国となっている日本と韓国の両チームが頑張っているので、より感動的だ。アジアにおいては初めてのワールドカップということで、どうなるのか不安もあったが(日本と韓国には、歴史からくるわだかまりもあるのだし)、調子がいいようで、良かった。明日はアメリカと韓国の試合だそうだ。いつもお世話になっている雑貨屋さんは韓国人だけれど、自分はアメリカに住んでいるし、正直この対決はつらいなあ。


2002.7.17.

日中戦争の真実と「撫順の奇蹟」を語るのストリーミングビデオを見る(ブロードバンド必要)。やはり時代を生きた方々の証言というのは、具体的であり、ものすごい説得力を持つものである。テレビ番組の枠組みを超えた、こういった映像配給の良さが充分でていると思う。


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