メモ帳28

雑記


2000.4.22.

友人から借りたジブリスタジオのビデオにハマる。もともとは「もののけ姫」の日本語版を見たかっただけなのだが、ついでにダビングも頼まれ、「耳をすませば」「海が聞こえる」「おもひでぽろぽろ」と、1週間かけて見てしまった。「もののけ姫」はキャラクターの性格が揺れ動き、映画に提示される社会も完璧なものはない。自然と人間との共生を訴える宮崎アニメとしては、「ナウシカ」に通づるものがあるが、そもそも両者が共生できるのか(否定的な提示)、その方法はどんなものか、といった問題には、明確な答えが全くない。ストレートなキャラクターと筋書を求める人にとっては厳しい映画。客席が常に「考える主体」となって思考しなければならないのである。

その他の3つの作品は、いずれも中学、高校、社会人の恋愛物語だが、恋愛といっても年代によって感じ方・描き方が違うもんだ。私は年齢がそうだからなのかもしれないが、大人の恋とノスタルジアを感じる「おもひでぽろぽろ」に一番共感できた。また、田舎と都会という、私が以前から興味を持っていた物語設定も楽しめた。私は田舎といっても、いわゆる地方都市(富山市)で、農家でもないので、本当の意味では「田舎」の仲間入りはさせてもらえないのだろうが、ネットで知り合った方によれば、山形の農業は映画よりもずっと深刻らしく、特に後継者がいないことが一番の問題らしい。いま50代の人がいなくなると、もう先がないのだそうだ。どうして日本はそこまで農業をダメにしてしまったんだろう。私は、ここまでくると、今さら農業にはいけない立場になってしまっので偉そうなことは言えないが、それにしても、自国を愛するのならば、農業をおろそかにしてはいけないと、いつも思っている。農業がダサいなんて、一体誰がいいだしたんだろう? 東京にあこがれるのは、やっぱりテレビのせいなのだろうか。私は、どんな職業でも、一生懸命やっている人はカッコイイと思う!


2000.4.29.

日本はゴールデンウイーク(和製英語)なのだが、こちらは平日。ただ、ちょうど春学期が終わり、卒業式シーズン。2日前から、卒業する友人たちのパーティーに出席。一昨日のパーティーはピアノ科学生だった人。もともと台湾出身なので、そちらの方から、日本語も流暢に話せるので、日本人も数名。あとはアメリカ人、南米系といった構成。先日買ったユダヤ・ワイン(これが3ドルと安い!)を持ち込む。これが大変好評で、自分が飲み残したボトルまで持参。かなり甘いワインなんだが、ジュースのように飲めるのがいいらしい。ワイン通には、たぶん却下されるのだろうが、普段飲んでいない人も多かったに違いない。歴史学科の学生がいて、私の好きなハワード・ジンの話を出してみた。そうすると、彼も分かっていたみたいで、原爆は旧ソビエトに対して見せつけのために日本に落としたのだ、という認識を持っていた。こういう考え方をする人は、アメリカ人では極めて少数なので(普通は、アメリカ兵が本土決戦を避けられたので、その分の命が救われたと「正当化」する)、とても嬉しかった(日本では、ほぼ当然のように考えられているところもあるが)。彼と別れるとき、「オレはリベラルだ!」と思わず言ってしまったが。彼も「Me, too」と言ってくれた。

昨日は日本人学生会の夕食会。ルーシー・ホーのオリエンタル・コートというところで行った。町の中心にあったレストランを引き払って、もともとあったこの郊外に本店を移したということで、ニューヨークから、新しいシェフも招いたという力の入れよう。私は予約担当で、40人入れておいたのだが、来るかどうか、不安だった。日本人学生会の会長のアドバイスで、電話連絡をし、人数の把握を試みる。結局36人に連絡がとれたが、当日突然来た人もいて、結局40人で大丈夫だったようだ。ほっとした。夕食会には、学生以外の年配の方、卒業生のご両親などもいらっしゃって、いろんな世代の人が集まり、にぎわった。中にはタラハッシーに10年いて、こういう行事には初めて参加したという人もいて、とてもうれしかった。参加者からは、こういった世代を超えた人々の交流が欲しいというアンケートの意見もあり、あらためて日本人学生会主催の行事の意義を感じた。来てくれたみなさん、本当にありがとう。おいしい食事を作ってくれたルーシー・ホーのシェフ、少ない予算で目一杯がんばってくれた、Nagashimaさん、当日給仕をやってくれた方々、皆さんに感謝!!

今日は、その日本人学生会の会長の卒業パーティー。ずっとプライベートな感じで、日本人の割合も多かった。日本語で話した時間も多かった。卒業する2人の人のご両親と、演歌や音楽教育の話題で大いに盛り上がる。日本酒も久しぶりに飲み、楽しく対話。久しぶりに、純粋な日本を味わったような気がした。春巻や大福といった、祖国の味にも舌鼓。どうもありがとうございました。このページをごひいきいただいているKayoさん、日本に帰ってもお元気で!

さて、私も卒業に向けて頑張らねば! 先生、待ってて下さいね!

学期の終わりは、必然的に引っ越しのシーズン。レンタルトラックのU-Haulは、人で溢れかえっている。私は友人がダンボール箱を買いたいというので、それにつきあっただけだったのだが、レジでは、トラックがほしいというお客さんが店員と喧嘩をする始末。「いつまで待てばいいの」「だからこちらから電話しますから」「30分したら、どのくらい待つか教えてくれるっていったでしょ。」などなど。引っ越しするなら、お早めに、ですね〜。でも、明後日にもなれば、ここもぐっと静かになるなあ。研究に没頭できるってもんか。


2000.4.30.

昼は友人と、明園(Ming Tree)へ中華料理を食べにいく。台湾出身の友人は四川料理を頼んだのだが、出てきたのはまったく辛くもくどくもない普通の鶏肉の和えもの。給仕さんにhot sauceを持ってきてもらうはめに。アメリカ人向けに辛くしていないというのがお店の言い訳だが、私の頼んだhunan lambは唐辛子も入っていたんだけど。よく基準が分からない。Pier 1 Importsというお店が隣りにあり、初めて入ってみた。買おうと思うものはなかったけれど、目の保養にはなるお店だと思った。ちょっと気のきいたデザインのものがたくさん置いてある。私が気に入ったのは、古代を感じさせるデザインの壷など。独特の色と模様と、ざらざらした肌ざわり。日本に持っていける訳でもないので、買わなかったけれど。

最近教会に通うようになって、キリスト教というのは、改めてよい教えを持っていることに感動しているのですが、これほど道徳・倫理の問題について、日々の生活について体系的に思考させてくれる信仰があるのに、どうして、アメリカというのはこんなに病んでいるんでしょうか? 資本主義という信仰が、偉大な宗教を陵駕(りょうが)してしまったのでしょうか?


2000.5.1.

予想通りの静かなタラハッシー。研究もはかどりそう(?)。今日は一人で音楽のお勉強。


2000.5.6.

日本のように連休はないのだが、たまたま今週は春学期、夏学期の間のお休みであり、私はそれなりにゆっくりすることができる。といいながら、実際はいつもの通り、音楽のことを毎日考えているし、論文の資料を読んでいる。昨日、資料の一つとしてのカセットが届き、それを聴いているところ。あと、東京に住む妹から、テレビ番組のビデオなどが届き、楽しんでいる。TBSの「ここが変だよ 日本人」というものだけれど、私は結構楽しく見てしまった。それにしても、日本をうまく話す外国人というのも多くいるものだと感動したのも確かで、日本がこういう人から学べることも随分あるものだとも思った。

その他、漫画「美味しんぼ」も2冊、送られてきた。一冊は刺身に関する内容。なるほど、日本食の醍醐味といえば、お刺身もその一つですね。私の両親はお刺身が大好きで、本当によく買ってくるのですが、でも、富山でも、最近は、本当においしいお刺身というのは、少なくなった印象があります。近所には、以前お魚屋さんがあって、子どもの頃などは、私も、特にブリなど、身のしまった、脂の乗り切ったものが食べられたのだが、その後の大型スーパーなどの進出もあり、小さなお魚屋さんはなくなってしまった。みんな「スーパーのだってうまい」っていうけど、やっぱり全然違うと、私は思う。それに、季節季節で違った魚を食べていたような気もするし。

「美味しんぼ」のもう一つの方は、朝食。日本の伝統的な朝食を、自然のままの素材で食べることが、現在いかに難しいかということなど、面白かった。あの話で出てきたなかでは、まだ富山では井戸水が飲めるので、そういうのは自慢できるんだな、と思った。決して山奥に実家があるわけではないのだが、副流水があるのだ。あれを朝に一杯飲むのは、たしかにすがすがしい。ちょっと水を流さなければいけないけれど、そこで顔をあらって、冷たくなったころに水を飲むというのもいい。夏は、本当に冷たいし。水道は、富山のレベルでも、やっぱり塩素臭い。

今、テレビでは、銃をスポーツとして、生活の一部として楽しむ人たちの話が紹介されている。楽しそうに銃について熱く語る人たち。家族にも引き継いで生きたい、銃の伝統。こういうのは心情としては信じ難いものがあるし、あの人たちのにこにこした顔をみると、恐ろしくなってしまう。もちろんこの人たちは犯罪者ではないのだけれど、銃にたいして免疫を持っていない私にとっては、つらいばかりである。



メモ帳目録に戻る
メインのページに戻る