メモ帳20

日本の経済?

(98.7.17.)

アメリカにC-SPANというチャンネルがあり、確か政府広報チャンネルだったと思うのだが、日本の政治経済について、熱心に議論されていることがあった(帰国の前日だったので、7月14日だ)。その放送には、日本の経済界からも、現状報告や質疑応答があった。残念ながら私の見たのは質疑応答の部分だけであったが、アメリカの経済人から厳しい質問が浴びせられていた。

アメリカ人の質問者の一人は、日本の経済が、アジア全体や世界の経済に多大な影響を持っていることについて考えているのか、問いただした。日本はアジア経済の3分の2を牛耳っているからだ。日本が立ち直らなければ、アジアが、世界が良くならないという考えが根底にあるようだ。

それに対して、日本の経済人は、経済政策について具体的な視点を打ち出すこともなく、単純に、日本の庶民はアジア経済全体について関心がないとか、自分達の生活レベルまでに大きな影響がでないと動かないという発言をしていた。日本ではちょうど自民党大敗で橋本首相辞任が伝えられていた。それなのに、何たる発言! 国民の声が出ているというのに!

アメリカ側からのもう一つの質問は、衆議院では自民党がやはり支配権を握っているようだが、自民党に誰か経済政策を打ち出せる人材がいるのかどうか、というものだった。これに対する答えは、自民党はこれまでも経済については色々考えて来たから、何とかなるだろうというような曖昧な答え。私は、「いや、誰もいない」とか言ってくれた方が良かったのかな、とまで思ってしまった(日本の状況に疎い私には、正確なことは分からないのだが)。曖昧な発言をするほどボロが出てきて、見ていてつらかった。

いま日本にいてテレビなどを見ているが、どの局も永田町の論理だの派閥だのといって批判のオンパレードである。一方で首相候補ゆかりの土地を訪ねて、地元から政治のスターを出るのを夢見る素朴な人達の映像が流れる。もともと国民全体を担う人なのに、どうして地元の人がこんなに喜ぶんだろう。お国自慢になるということなのだろうか。

私は、アメリカのテレビに影響されてしまっているので、かなり偏向した考えを持っていると思うのだが、それにしても、日本はどうして報道陣まで、派閥の追っかけに専念しているのだろう。経済の専門家でも一人くらい呼んで、政府が全く挙げることのできない経済対策の一つでも考えればいいのに、と思ってしまう。次の首相は誰かということで、政治に詳しい人が出ていろいろ発言しているが、出てくる内容は、「あいつはこういう性格の人間で云々」というものばかり。

そんな個人的な性格が経済政策に何の関係があるというのだろう。テキトーな意見とテキトーにまとめるか、無理やりな政策を無理やり通す政治家は、もういらないだろうに。政治家は政策で選ぶべきではないか? それが彼らの仕事だろう。

何のビジョンもないまま新聞もテレビも追っかけ報道。アメリカの報道も、経済ばかりに片寄りすぎているとは思うけれど、何とかいいアイディアがないか、とりあえずは考えているように見える。

しまいには、アメリカは日本を助けなきゃ("help"という言葉ですよ!)とまで言っている。日本は「圧力」と感じているんだろうけれど。これではアメリカ人からなめられてしまう。

でも、こんなエラソーに言う私も経済については何も知らない訳で、何も助けすることが出来ない(母親に従って経済学部に入ればよかったかな??)。どんどん安くなる円に、アメリカの生活が苦しくなるばかり。ついつい傲慢(ごうまん)でわがままになってしまうのだった。

日本はしばらく何もしないだろうとアメリカ人は厳しくみているようだ。テレビで中継されていた会議の議長(アメリカの政治家だったと思う)は、アメリカの経済人の日本の現状報告があまりにも否定的なので、驚いていた。しまいには、「おい、何か良い策はないのか」という発言がでる有様。私がその応答としてアメリカ人が話していたことで、分かったことは、「日本の経済は銀行が悪い。よい銀行システムを作らなければならない」というくらい。経済・政治の英単語に弱い、私が情けない!


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