メモ帳2:UPSとのひともんちゃく(97.11.19)

随分前のことですが、通信販売でビデオを買いました。発売元はどうやって(米国郵便、宅配便、連邦速達便など、荷物を送るのにはいろりろな方法がある。)商品を送ってくるのかを特定しなかったので、郵便局を使うと仮定して、私の私書箱の番号を挙げておきました。ところが、送り手はUPS (United Postal Serviceの略、日本の宅配便のようなもの)を使いました。UPSは、通常私書箱には配達しないというのが通例です。

案の定、UPSから「私書箱には配達できないので、違う住所が必要だ」との葉書が来ました。そこで、その葉書に書いてあった UPSのステーションに電話をかけて大学と寮の名前 をあげました。交換手は、大学名から始まる住所を聞いて、「ストリート・アドレスはないのか」、と言ってきました。いままでの経験から、UPSには大学と寮の名前で通じているし、前回葉書が来たときも交換手に大学と寮の名前をあげてちゃんと届いたので、「この住所で問題があったことは一度もありませんから、これを使ってください」と言いました。このとき、交換手の対応がイマイチ鈍いのが気になっていたのですが、アメリカに愛想の悪い交換手はいくらでもいるので、「まぁそんなもんだろうな」と思い、一応きちんと住所を取ったか確認してから電話を切りました。

ところがその後、いつまでたってもビデオが届きません。 UPSに再び電話をかけました。すると、「私書箱の住所になっていて配達できなかったようですね。それで送り手に返送されました。」と言ってきました。「そんな馬鹿な。先日葉書がきたので、そちらのオフィスに電話をいれて、寮の住所を挙げたところですよ」と答えたのですが、「コンピュータには登録されていませんね。」と言ってきました。「どうすればいいんですか?」と尋ねると、「もう一度送り先に連絡を取って、送ってもらうように頼んで下さい」と言ってきました。 「そもそもそちらの責任で荷物が届かなかったのに、どうして そんなことをオレがやらなきゃならないんだ」、と思いながらも、 「それなら、電話番号を教えてくれ、知ってるはずだろ」、と聞きました。 普通UPSで物を送るときは、日本の宅配便と同じで、送り手の電話番号 を書く欄があるのを知っていたからです。

ところがUPSの電話の交換手は「電話番号は分からないんですが」と言うのです。

この辺から怒りが込み上げてきました。「それじゃいったいどうやって送り手 に連絡を取れってわけ? 手紙でも書けって言うの? そんなのひどいじゃない。 あんたのせいで荷物が届かなかったのに、どうして僕がそんなことまでしなきゃ ならないの? 電話番号くらいどこかにあるでしょ!」 と怒鳴りつけました。 それに対する向こうの反応は、「ごめんなさい」でした。これは謝罪しているからいいじゃない、と日本の方からは見えるかもしれませんが、これは、「うちは何もできないよ、 じゃあね」、ということを丁寧に言っているだけなんですよね(「ごめんなさい」の言い方によって、これははっきりします)。

僕はさらに、「何か連絡する手段はないの? あんたらだって送り手の連絡先が分からなきゃこまるでしょ」、というようなことを言ったのですが、しまいには交換手が変わって、またお詫び攻撃。僕は「ひどいサービスだね。荷物が届きもしないし、しまいには連絡先も分からないなんて。それじゃ何もできないってことじゃない。」と繰り返し文句を言い続けました。すると「ちょっとまってください」、と一言。しばらく後ろの方でゴソゴソ音がしたあと、今度は一転して「連絡先が分かりました」とのこと。

「やっぱりあるんじゃねぇ。一体何考えてんだ?」 と思いながらもとりあえず電話番号をもらい、「じゃあこちらから一応連絡はとってみますね。でもあなたたちも、こんど送り手から荷物が再送されるとき、またそれに送料がかからないように、確認してくださいね。でもただの口約束じゃだめだよ」と言うと、「はい、コンピュータの画面に、覚書を書いております」、といいながら、今度は覚書の内容をわざわざ読んでくれました。ここまでやれば大丈夫だろうな、と思いながらも、念のため、交換手の名前をもらいました。最悪の場合でも、同じ人に話しが回ってくると思えば、向こうも必死になりますから、この方法は使えます。

幸いその4日後に、ビデオは無事届きましたが、そのちょっと前に、地元のUPSオフィスからお詫びの電話が再び入りました。もうその頃は怒りも冷めていたので、「まぁいいですけど」、みたいなことを一言いいました。また荷物が届いた後も、しばらくして、今度はUPSからアンケートの葉書。「今回のサービスを元にご意見をお寄せください」とのこと。なるほど、こういう風に丁寧なサービス精神を見せつければ何とかなると思っているのだな、と確信して、きちんと辛い点数をつけておきました。だってしょうがないでしょ。

てなわけで、この出来事を通してアメリカ顧客サービスの凄まじさが、身にしみて感じました。といいながら、この程度のことは、以前に何度も体験しており、珍しいことでもありません。英語力に自信のなかった頃は、怒りをもろにぶつけることが出来ずに欲求不満にもなりましたが、最近は腹がたつと爆発してしまうようになってしまいました。

そういう体験を通して一つ分かったことは、下手な発音の英語でも、勢いがあれば通じるということ。日本語で怒ると、また格別のインパクトがあるということも誰かから聞きました。日本からアメリカにいらっしゃる皆さん、アメリカ人のサービスで不満があればどんどん言いましょう。強く出て、こちらのペースに巻き込んでしまえば、こっちのものです。


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