メモ帳18:富山にて(7)

(1998.8.17.)

実家にはケーブルテレビが入っているのだが、そこでは東京からやってくる20あまりの多様なチャンネルの他に、地元中心の情報を繰り返すながすチャンネルがある。

父が、たまたまそのチャンネルで、私の母校である富山南高校の吹奏楽団のコンサートを放映しているという。それは紛れもなく、私が高校時代を過ごした、あの吹奏楽部なのである。

しかし正直言って、あまりの変わり様に驚いてしまった。まずは女性奏者の多さ。私がいた頃は、男性の方が女性よりもちょっと多く。文化系の割には体育会系の厳しいトレーニングがあり、結構オトコくさかったのである。それがいまは男性がたった3人しかいないのだ。

全体の人数の少なさにも驚いてしまった。私がいたころは五十人はいたと思うのだが、いまはその半分くらいなのである。当然コンクールなども大編成から小編成で出場だと聞いている。

もう一つ驚いたのは演奏のレベル。私がいたときも、そんなにうまくはなかったのだが、やはりちょっと力量が足りなくなったような感じがした。それは単に人数が少ないというだけではないようなのだ。

しかし、一つ変わっていないことがあった。それはコンサートの三部構成で、二部がジャズのビッグバンドをやっているということである。このジャズの部は私が3年生の時、今までマンネリだった第2部をなんとかしたいということから、急に作り上げたものだったのだが、いまやそれが伝統と化しているようなのだ。またゲストとして私の2年上の川嶋さんという方が出演されていたのは懐かしかった。彼は私がいたころからサックス吹きとして鳴らしていたのだが、どうやらプロ奏者になられたようで、尊敬の限りである。ちりじりの頭になって、高校時代の面影はもう感じられなかったが、それでも懐かしいものである。

正直いって、高校時代の吹奏楽部にはあまり楽しい思い出がない。コンクールに追われ、厳しい上下関係の中、やっていたのは朝から晩までの練習ばかり。夏休みもなかったなぁ。

今は、そういう厳しい部活動ははやらないらしい。厳しくすると、すぐやめてしまうそうだ。私はある程度上下関係のけじめのようなものは、社会にあっても存在するのであってもいいのかな、と思うのだが、確かにそれ以上はあまり意味がないのではないかと思う。

かといって、集団の中であまり個人を大切すにし、わがままばかりがまかり通るようだと、これもまた困りものだと思う。部活動というのは、何かに打ち込んで、ある程度集団の中でうまくやっていくことを身につけていく場所だと思うし、そういうところが、やはり何か後に残ると思う。

私は高校時代、部活動に明け暮れて勉強は全然しなかったが、それはそれで良かったと思っている。ただ学校と家を行き帰りするだけなんて、やっぱりつまらない。学校がつまらなかったら、それを部活動で吹き飛ばすことだってできたんだし。

富山では、いま音楽系部活動から、生徒がどんどん離れていると聞いている。青春時代をともにした吹奏楽部が昔に比べて寂しくなっているのを改めて確認してしまい、落胆したことは事実だが、ういういしい部員達が、それでも自分たちなりに音楽を楽しんでいる姿をみただけでも、依然部活動が続いているだけでも、それはそれで感動に値するものだな、と自己満足してみた。


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