メモ帳15:富山にて(4)

(1998.8.2.)

日本が不況だということは、前々から言われていることなのですが、それにしても、テレビ番組はすごいですね。芸能人が貧乏だったころの話、お金持ちが貧乏になった話、会社でリストラにあった人が登場人物になったドラマなど、去年に比べて内容が不況色に染まっていますね。本屋さんをみても、日本はもう終わりだとか、そういう話ばかり。もうちょっとポジティブにはならないのかな、と思ってしまいます。不況話もそろそろ飽きてきませんか?

言われなくても不況なんて分かっている訳で、それを人から言われるのもつらいですし、不況話を聞かせれ続けられますと、なんか同情されているようで気持ち悪いです。それともそういう気持ちになるからみんな見るのかな。

テレビ番組といえば、昔はそうは思わなかったのですが、民放って番組がBGMで溢れかえっていませんか? それにナレーションのテンションが常に高くて、どうでもいいようなことが一大事みたいに伝えられているような印象を受けます。特に話している言葉を文字にする手法がかなりうるさく定着しているようですし、「しかし」とかいってガーンとか音が入るのとか、なんか見ていて疲れちゃいますね。

NHKはそういう点では救えるのですが、それにしてもあいかわらずダサいですね。しかも「みなさんの放送です」というCMがやたらと気になります。昔本多勝一の本を読んでいたからなんですけれど。政治的に偏向しているのに、どうして皆様になるのか。有無をいわさず「テレビ税」をとり続ける放送局がどうして皆様の放送局になるのか、という疑問ですね。

NHKといえば、私がどうしても好きになれない番組があります。それは「のど自慢」です。なぜかと言われると答えにくいのですが、たぶん人が気持ちよく歌っているのに鐘がなって止められるということに抵抗があるからなのだと思います。あれ、本当に気分が悪くなります。それにいつ止められるのか見ていてヒヤヒヤするんです。僕は下手でも最後まで聴いてあげて、それで採点されるのなら、まだ我慢できると思うのですが、途中で止めるのはものすごい失礼に見えるんですね。いったい誰がどういう基準で鐘を鳴らしているのかというのも、とても気になります。下手でもいいじゃないですか。美しく歌うことばかり考えると音楽(の本質)を失ってしまうと言った、あるアメリカの音楽家の一言を思い出します。

でも私の祖母などは好きで毎週見ているようなので、あの世代は、途中で止められても、自分が悪いんだとおもって納得するのかな? なんて思います。偉い先生に採点してもらっているから良いってもんなんでしょうかね?

まあ歌われている曲目が民謡や演歌中心だからというのもあるのかな。また地元の素人歌手が全国に放送されるというのも魅力なのかな。民謡選手権というのだったら、ちょっと前までやっていたフジテレビ系の「キンカン素人民謡名人戦」(でしたっけ?)のような採点方法がいいなぁ。とにかく途中で楽しそうに歌うのが止められる、しかも歌に不釣り合いなあの鐘の音、なぜか受け付けないんです。あれ、だれか文句を言う人がいないのかなぁ。

それでもあの番組がなくなると、やっぱり困るんでしょうね。きっと今でもNHKの看板番組の一つなのでしょうから。いやなら見なければいいので、事実祖母が見ている時は私はいつも部屋をはずします。昔からどうもだめなんですね。

でもNHKのクラシック番組、民謡番組、邦楽番組は頑張ってますね。民放ではサポートされないジャンルです。伝統芸能だけを放送するケーブルテレビもありますが、有料ですからね(もっともNHKも有料放送には違いないのですが)。私は本多勝一さんの言われるように政治的なことに関しては納得できない点もあるのですが、こと音楽番組に関しては評価しています。しかしアメリカ音楽を勉強している私にとっては、アメリカ音楽が全く流れないNHKはつらいです。日本全体がヨーロッパ中心の音楽観なので、それは仕方ないのかな。


メモ帳目録に戻る
メインのページに戻る