Mr. Tの現代アメリカ音楽講座



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2004年8月1日アップロード
これは新潟県新津市にあるFM新津の番組「ドクターヨコサカのくらくらクラシック」において、2004年7月末に放送されたアメリカ音楽紹介の原稿です。
現代アメリカ音楽講座の時間です。今月も私、谷口昭弘がアメリカの知られざるクラシック音楽をお届けします。

シーグマイスターCD今日1曲目はエリー・シーグマイスターの《劇 場組曲》、英語では《シアター・セット》という曲です。この作品、聴いてみると、背景に何か物語のようなものがあるんじゃないかと思えてくるんですが、作 曲家のシーグマイスターはこの曲を書く前、オペラなど舞台作品を手掛けていたようです。それでそういった劇場で聴かれる音楽の雰囲気を使って、コンサート 用作品を作れないかと取り組んだのがこの作品です。4つの楽章でできておりまして、第1楽章は<イントラーダ>。これは導入という意味のようです。第2楽 章は<ブルースと追跡>、第3楽章は天の教えという意味で<天啓>、第4楽章は<三段攻撃>と、それぞれ気になるタイトルがついているようですが、これら は別に特定の物語になっている訳ではなく、私たちが自由に空想をめぐらせてもよいということのようです。

ではエリー・シーグマイスターの《劇場組曲》をハワード・ハンソン指揮イーストマン・ロチェスター交響楽団の演奏でどうぞ。

[ここで音源] 劇場組曲/エリー・シーグマイスター作曲/ハワード・ハンソン指揮イーストマン・ロチェスター交響楽団/使用CD=米Premier PRCD 1010/演奏時間=14分50秒

Classical Hollywood CD2曲目はバーナード・ハーマン作曲の《船旅の土産》というク ラリネット独奏と弦楽四重奏のための作品です。バーナード・ハーマンといいますと『北北西に進路を取れ』や『サイコ』など、ヒッチコック映画のための音楽 を書いた映画音楽作曲家として有名だと思うのですが、演奏会用の作品の数も少なくはなかったようです。今日お送りしますのは、そんなハーマンの演奏会用作 品としては最後のものになるそうで、1967年に作られたノスタルジックで美しい《船旅の土産》という作品から、時間の都合で第1楽章のみをお送りしま す。演奏はジェフリー・ラーナーのクラリネット独奏とリリック・アート弦楽四重奏団です。

[ここで音源] 《船旅の土産》/バーナード・ハーマン作曲/ジェフリー・ラーナー(クラリネット)、リリック・アート弦楽四重奏団/使用CD=米Bay Cities BCD 1014/演奏時間=12分45秒

Gould Tribute Albany CD今日最後はモートン・グールド作曲の《アメリカン・シンフォネット》第2番という曲です。モートン・グールドの作品、これま でこの番組では何回かお送りしていますが、1930年代から50年代は、いわゆる「軽音楽」、今日でいうイージー・リスニングのご先祖様といった音楽の大 御所でありまして、そのためか、クラシック作品の中にも、ふんだんにジャズやポピュラー音楽の響きを取り入れたものを書いています。3つの楽章からなる 《アメリカン・シンフォネット》第2番、シンフォネットは小さな交響曲というくらいの意味だと思うのですが、とてもにぎやかでアメリカらしい感じがしま す。第2楽章はパヴァーヌと題されているのですが、これは単独でも演奏されているようです。

ではケネス・クライン指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏で、モートン・グールドの《アメリカン・シンフォネット》第2番をどうぞ。

[ここで音源] 《アメリカン・シンフォネット》第2番/モートン・グールド作曲/ケネス・クライン指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団/使用CD=Albany TROY 202/演奏時間=3分32秒、3分32秒、4分12秒


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