Mr. Tの現代アメリカ音楽講座



58
2004年6月12日アップロード
これは新潟県新津市にあるFM新津の番組「ドクターヨコサカのくらくらクラシック」において、2004年5月末に放送されたアメリカ音楽紹介の原稿です。
現代アメリカ音楽講座の時間です。お相手はいつもの通り、谷口昭弘です。

今日の現代アメリカ音楽講座、短くて軽いノリの音楽を2曲と長めで真面目な音楽を2曲という構成でお送りしましょう。

American Piano Music Vox CDまずは短いピアノ曲を2曲、ヴァージル・トム ソンの10のエチュードから、ラグタイムのベース、そして平行進行の和音(タンゴ)という曲です。1曲目のラグタイム、「くらくらクラシック」のテーマ音楽、ジョプリンの《ジ・エンターテイナー》ですでにお馴染みだと思いますが、このトムソンのラグタイムは、華やかなエンターテイメントという感じよりも、もっと庶民的な、素朴な味わいが漂ってくるところが魅力のようです。2曲の平行進行の和音(タンゴ)ですが、アルゼンチン発祥のタンゴに特有なリズムが聞こえてまいりまし。しかし右手の旋律にちょっと変わった和音が付けてありまして「タダものではない」不思議な響きが生み出されています。

では、ヴァージル・トムソンの10のエチュードから、ラグタイムのバース、そして平行進行の和音(タンゴ)の2曲をロジャー・シールズのピアノでど うぞ。

《10のエチュード》から<ラグタイムのベース>/ヴァージル・トムソン作曲/ロジャー・シールズ(ピアノ)/使用CD=米VoxBox CD3X 3027(「Piano Music in America (1900-1945)」、3枚組の2枚目)/演奏時間=1分41秒

《10のエチュード》から<平行進行の和音(タンゴ)>ヴァージル・トムソン作曲/ロジャー・シールズ(ピアノ)/演奏時間=2分21秒

American SQ CD軽いピアノ曲の後は、このコーナーでも度々お送りしています、ハワード・ハンソンの、心に迫る弦楽四重奏曲をお送りしましょう。1927年に出版されたこの弦楽四重奏曲、ハンソンらしく、非常にロマンチックな音楽になっています。また弦楽四重奏曲というのは通常4つの楽章で成り立っているのですが、この作品は1楽章になっています。しかし全体を通 して聴いてみますと、非常に息の長い部分があったり、切迫するリズムを感ずるところがあったり、優しい歌があったりと、その表情は様々です。ヴァイオリンが2つとヴィオラ、チェロという弦楽器4つというのは、音色として統率が取れている分、作曲家の豊かな発想が自然と要求されるようなところがありまして、ハンソンはこの要求にうまく答えているように思います。

では、ハワード・ハンソンの弦楽四重奏曲を、コーホン弦楽四重奏団の演奏でどうぞ。

弦楽四重奏曲(一楽章形式)/ハワード・ハンソン作曲/コーホン弦楽四重奏団/使用CD=米VoxBox CDX 5090(「American String Quartets: 1900-1950」)、2枚組の1枚目/演奏時間=17分47秒

N響 コープランド/バーンスタイン最後は、ハンソンの音楽に聴かれた、厳しい問いかけのような音楽とは別に、アメリカの大地を自然に感ずるコープランドの交響曲第3番をお送りします。これからお送りします第4楽章の冒頭には、アメリカの公の式典で良く演奏される、市民のためのファンファーレという作品が引用されています。この交響曲自体には、特にアメリカをストレートに表現したような物語が考えられていた訳ではないのですが、堂々としたオーケストラの中に滲みでてくるのは、まぎれもないアメリカの表現であるように感じられます。

この曲、演奏もたくさん種類があるのですが、今日はレナード・スラトキンが日本のNHK交響楽団を指揮したCDでお送りしたいと思います。では、コープランドの交響曲第3番です。

[ここで音源] 交響曲第3番より第4楽章/アーロン・コープランド作曲/レナード・スラトキン指揮NHK交響楽団/使用CD=日キング (NHK CD) KICC 3032/演奏時間=15分07秒


アメリカ音楽講座の目次に戻る
メインのページに戻る