Mr. Tの現代アメリカ音楽講座



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2003年4月2日アップロード
これは新潟県新津市にあるFM新津の番組「ドクターヨコサカのくらくらクラシック」において、2004年3月末に放送されたアメリカ音楽紹介の原稿です。
現代アメリカ音楽講座の時間です。お相手はいつもの通り、谷口昭弘です。

今日の現代アメリカ音楽講座は交響曲を2つとピアノ協奏曲を1つという構成でお送りします。ある意味、アメリカ音楽の成熟を象徴するような音楽ジャンルであるかもしれません。

American Masters Sony CD最初はロイ・ハリスという人の交響曲第3番です。もともとは農家だったハリスはパリに行って本格的なクラシックの勉強もしたのですが、アメリカの大地を思わせる音楽表現を生涯大事に暖めた人でした。これからお送りする交響曲第3番も、聴いてまいりますと、畑を耕してアメリカを作り上げていった開拓者たちの姿が浮かんでくるようです。この作品、かの名指揮者レナード・バーンスタインも強い共感を持っていたのか、ニューヨーク・フィルと2回も録音しています。今回はそのうちの、1962年のものをお送りします。ではバーンスタイン指揮ニューヨークフィルハーモニー管弦楽団の演奏で、ハリスの交響曲第3番です。

[ここで音源] 交響曲第3番(1937年作曲)/ロイ・ハリス作曲/レナード・バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団/使用CD=米SonyClassical SMK 60594/演奏時間=17分19秒

続いてはロイ・ハリスと同じ1898年生まれのジョージ・ガーシュインのピアノ協奏曲ヘ調から第2楽章をお送りします。たった今お送りした土俗的なハリスとは対照的で、ガーシュインというとニューヨークの高層ビルが想像されるような、都会的でおしゃれなアメリカ音楽という感じがいたします。1920年代に欧米を席巻したジャズがふんだんに折り込まれているのが、やはりこの曲の魅力でしょう。今日はそのガーシュインの作った唯一のピアノ協奏曲をアンドレ・プレヴィンのピアノとアンドレ・コステラネッツ楽団の演奏でお送りします。

[ここで音源] ピアノ協奏曲ヘ調より第2楽章/ジョージ・ガーシュイン作曲/アンドレ・プレヴィン(ピアノ)、アンドレ・コステラネッツ楽団、トランペット・ソロ=ウアン・レイシー/使用CD=米CBS Odyssey MBK 46270/演奏時間=12分39秒

ハンソン 交響曲第2番 スラトキン指揮今日最後はハワード・ハンソンの交響曲第2番《ロマンティック》から、元気はつらつとしたフィナーレをお届けします。3つの楽章から成るこの交響曲を書いたハンソンは、スウェーデン系の血を持つ両親の下にネブラスカ州に生まれたそうです。北欧といえば、我々はついフィンランドのシベリウスなどを思い出してしまうんですが、これからお送りするハンソンの交響曲にもそんな北欧の響きが聴かれるようです。しかし、例えばリズムなんかを注意深く聴いてみますと、どことなくアメリカらしさも確実にあります。オーケストラの華やかな音も、どこかしら映画音楽を思わせるのが不思議です。ではレナード・スラトキン指揮セントルイス交響楽団の演奏で、ハワード・ハンソンの交響曲第2番《ロマンティック》から第3楽章をどうぞ。

[ここで音源] 交響曲第2番《ロマンティック》より第3楽章/ハワード・ハンソン作曲/レナード・スラトキン指揮セントルイス交響楽団/使用CD=日東芝EMI(エンジェル)CE33-5262/演奏時間=07分48秒


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