Mr. Tの現代アメリカ音楽講座



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2003年8月18日アップロード


これは新潟県新津市にあるFM新津の番組「ドクターヨコサカのくらくらクラシック」において、2003年7月末に放送されたアメリカ音楽紹介の原稿です。


アメリカ現代音楽講座の時間です。お相手はいつもの通り、谷口昭弘です。

このコーナーでは、アメリカのクラシック音楽を、いろんな角度から楽しんでいただいておりますが、今回は「都会の喧騒を表現したアメリカ音楽」と「地方色豊かなアメリカ音楽」といった感じで攻めてみたいと思います。まずは都会の喧騒ということで、高層ビルの立ち並ぶニューヨークを題材にした作品、タイトルもずばり《摩天楼》という作品をお送りします。この《摩天楼》という作品、ジョン・アーデン・カーペンターという人が1924年に作ったもので、副題は「アメリカ生活のバレエ」とされております。もともとロシアのディアギレフ舞踊団のために作られたものだそうですが、そびえ立つ高層ビルの荘厳な感じ、そしてそれとは対照的な、楽天的なニューヨーカーの姿が表現されているようです。

では、ケネス・クライン指揮ロンドン交響楽団の演奏で、カーペンターのバレエ音楽《摩天楼》を、今回は時間の都合で、20分の全曲の中から前半の10分あまりをお聞きいただきます。

バレエ音楽《摩天楼》より/ジョン・アーデン・カーペンター作曲/ケネス・クライン指揮ロンドン交響楽団/使用CD=米Angel-EMI CDC-7 49263 2/演奏時間=9分58秒

都市の喧騒を離れまして、次は雄大なミシシッピー河をテーマにした音楽をお送りします。こちらもタイトルは、ずばり、組曲《河》と申します。この組曲、もともと映画音楽として作られたものをオーケストラの組曲にしたものだそうですが、トムソンはアメリカの人々に広く親しまれている民謡や教会の賛美歌などを随所に折り込み、どこかしらユーモラスでさわやかな音楽を書いています。今日お送りするのは、そんなトムソンが「古き良き南部」と名付けた楽章で、人々のいきいきとした姿が映り出されているような感じの音楽が聴かれます。どことなく、『トム・ソーヤの冒険』でお馴染みのマーク・トウェインのアメリカという感じもいたします。

ではネヴィル・マリナー指揮ロサンゼルス室内管弦楽団の演奏で、ヴァージル・トムソンの管弦楽の組曲《河》から<古き良き南部>です。

[ここで音源] 組曲《河》より第1楽章<古き良き南部>/ヴァージル・トムソン作曲/ネヴィル・マリナー指揮ロサンゼルス室内管弦楽団/使用CD=米Angel-EMI CDC-7 47715 2/演奏時間=9分50秒

ミシシッピー河に続きましては、アパラチア山脈の民謡を使った短い作品をお送りします。こちらもタイトルは《アパラチアの小唄と踊り》というヴァイオリンとピアノのための作品です。3つの楽章からなる組曲なんですが、今日はその中から、木靴で床を踏みならして踊ったという<木靴ダンス>という、楽しい作品をお送りします。演奏はスティーブン・シップスのヴァイオリン、エリック・ラーセンのピアノ伴奏です。

[ここで音源] 《アパラチアの小唄と踊り》より<木靴ダンス>/ロバート・ワード作曲/スティーブン・シップス(ヴァイオリン)、エリック・ラーセン(ピアノ)/使用CD=米Bay Cities BCD1015/演奏時間=2分58秒

最後は、再び大都会のにぎやかさを彷佛とさせるガーシュインのピアノとオーケストラの作品、《第2ラプソディー》をお送りしましょう。タイトルの《第2ラプソディー》、実は第1番として、有名な《ラプソディー・イン・ブルー》があるので、おそらくそれにあやかって第2というのが付いたのだと思うのですが、この《第2ラプソディー》も、ジャズの雰囲気たっぷりの素敵な曲です。第1ラプソディ、《ラプソディー・イン・ブルー》の方はオーケストラのパートをグローフェという人に手伝ってもらったんですが、この第2、の場合は、すべてガーシュインが最後まで面倒をみています。

ではジョージ・ガーシュイン作曲の《第2ラプソディー》スチュワート・グッドイヤーのピアノ、エリック・カンゼル指揮シンシナティー・ポップス管弦楽団の演奏でどうぞ。

[ここで音源] 第2ラプソディ/ジョージ・ガーシュイン作曲/スチュワート・グッドイヤー(ピアノ)、エリック・カンゼル指揮シンシナティー・ポップス管弦楽団/使用CD=米Telarc 2CD-80445("George Gershwin: The Complete Orchestral Collection: Centennial Edition" CD 1 of 2)/演奏時間=15:18



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