Mr. Tの現代アメリカ音楽講座



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2003年8月18日アップロード


これは新潟県新津市にあるFM新津の番組「ドクターヨコサカのくらくらクラシック」において、2003年6月末に放送されたアメリカ音楽紹介の原稿です。


みなさんこんにちは。現代アメリカ音楽講座、ご案内の谷口です。

ブラウニング バーバー ピアノ作品今月も北アメリカを中心としたクラシック音楽 を、みなさんと一緒に楽しみたいと思います。先月のこのコーナーは、色彩的なコントラスト、明暗をテーマに考えたセレクションをお送りしましたが、今回は、涼しさや暑さといった、温度を対比させるような感じで曲を選んでみました。爽やかで心地よい響きと、情熱の表現が微妙に混ざりあう、そんなイメージです。また、これから訪れる夏を先取りするような作品もあります。もっとも私の住んでいるフロリダは5月から10月まで夏本番であります。

それはともかくとして、今日はまずクールな感じのするサミュエル・バーバーのピアノ曲《遠足》という作品から始めましょう。この作品、一見爽やかな風を切るように、楽しく遠足を楽しむといった感じもするのです。でもそれなりに暑くなって、盛り上がりもみせています。4つの楽章のうち第1、第3楽章を、ジョン・ブラウニングのピアノでどうぞ。

[ここで音源] 遠足から第1・第3楽章/サミュエル・バーバー作曲/ジョン・ブラウニング(ピアノ)/使用CD=米Musical Heritage Society 513597L(アルバム『Samuel Barber: The Complete Solo Piano Music』)/演奏時間=3分13秒、3分27秒

ルイヴィル管のカウエル集続いては、ヘンリー・カウエルの《賛美歌とフューギング・チューン》第3番という作品です。賛美歌の響きというのは、何かしら私たちの心を落ち着かせてくれるところがありますね。そして曲のタイトルにあります「フューギング・チューン」といいますのは、アメリカ南部の賛美歌のスタイルによく見られるもので、旋律が追いかけるようにして展開していくものを指しています。前半の涼しげな感じがだんだんと暑くなってくるという感じです。

ではジョージ・メスター指揮ルイヴィル管弦楽団の演奏で、カウエルの《賛美歌とフューギング・チューン》第3番です。

[ここで音源]《賛美歌とフューギング・チューン》第3番/ヘンリー・カウエル作曲/ジョージ・メスター指揮ルイヴィル管弦楽団/使用CD=米Santa Fe Music (First Edition) FECD-0003/演奏時間=7分01秒

カンゼル『Fiesta!』さてここまで涼しげな音楽が続きましたが、今度は一転して暑い南、ラテン・アメリカの名曲を、シンシナティー・ポップス管弦楽団が演奏したアルバムからお送りします。まずはアップテンポの《ティコティコ》、続いて曲名がずばり国の名前になっているサンバの名曲《ブラジル》、そしてバリー・マニローが歌ってヒットさせた《コパカバーナ》です。では以上3曲をエリック・カンゼル指揮シンシナティー・ポップス管弦楽団でどうぞ。

[ここで音源] ティコティコ/ゼクィンハ・アブレウ(ワレン・バーカー編曲)/エリック・カンゼル指揮シンシナティ・ポップス管弦楽団/使用CD=米Telarc CD-80235(アルバム『Fiesta!』)/演奏時間=3分21秒

[ここで音源] ブラジル/アリー・バローソ(トミー・ニューソム編曲)/エリック・カンゼル指揮シンシナティ・ポップス管弦楽団/使用CD=米Telarc CD-80235(アルバム『Fiesta!』)/演奏時間=3分21秒

[ここで音源] コパカバーナ/バリー・マニロー(トミー・ニューソム編曲)/エリック・カンゼル指揮シンシナティ・ポップス管弦楽団/使用CD=米Telarc CD-80235(アルバム『Fiesta!』)/演奏時間=3分45秒

2台ピアノのための作品集ちょっとした興奮のあとは、また穏やかさをちょっと取り戻しましょう。ポール・クレストンの2台のピアノとオーケストラのための協奏曲です。うっとりするような和音ときらめくピアノの響きが、爽やかでありながらも、自然な盛り上がりがあり、うまくそれはしずめられます。ではジョシュア・ピアスとドロシー・ジョナスのピアノ、デヴィッド・エイモス指揮のポーランド国立放送放送交響楽団の演奏で、クレストンの2台ピアノのための協奏曲から、その第2楽章をどうぞ。

[ここで音源]2台ピアノとオーケストラのための協奏曲作品50(1951)/ポール・クレストン作曲/ジョシュア・ピアス、ドロシー・ジョナス(ピアノ)、デヴィッド・エイモス指揮ポーランド国立放送放送交響楽団/演奏時間=10分02秒

ネルソン吹奏楽作品集ゆったりときらめくような音に続きまして、今日最後はこれから訪れる夏を予感させる一曲で締めたいと思います。ロン・ネルソンという人の《ロッキーポイント・ホリデー》です。これはアメリカ北東部のロードアイランド州ロッキーポイントビーチの海辺の風の印象にもとづいた曲だそうです。風ということでとても爽やかな音が出てきそうなのですが、実際は曲の最初から最後まで、とても興奮さめやらぬという感じで、まさに夏を先取りしているようでもあります。あるいはびゅ〜と吹く風のイメージなのかもしれません。

では、このロン・ネルソン作曲の《ロッキーポイント・ホリデー》を、ジェリー・ジュンキン指揮ダラス・ウインド・シンフォニーの演奏でどうぞ。

[ここで音源] ロッキーポイントホリデー/ロン・ネルソン作曲/ジェリー・ジュンキン指揮ダラス・ウインド・シンフォニー/使用CD=米Reference RR-76CD/演奏時間=4分59秒



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