Mr. Tの現代アメリカ音楽講座



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2003年7月23日アップロード


これは新潟県新津市にあるFM新津の番組「ドクターヨコサカのくらくらクラシック」において、2003年5月末に放送されたアメリカ音楽紹介の原稿です。


[ここで音源] キャンディード序曲/レナード・バーンスタイン作曲/レナード・バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団/使用CD=米CBS Masterworks MK 42263/演奏時間=4分10秒

元気はつらつとした、いかにもアメリカという感じの作品、レナード・バーンスタインの《キャンディード》序曲でした。

現代アメリカ音楽講座、ご案内はいつもの通り、フロリダ州立大学院の谷口です。今日も私が独断と偏見で選んだアメリカのクラシック音楽をお送りしますが、ひそかに考えている今日のテーマがありまして、それはアメリカ音楽の陰と陽、あるいは踊りとドラマといったものを考えています。

もちろんバーンスタインは「陽」の方。この雰囲気をもう少し続けてみましょう。踊りの要素ももったスコット・ジョプリンのラグタイムです。

ラグタイムは、ジャズのご先祖様のように考えられておりますが、その独特のバイタリティーには、自然に何かを動かしたくなるようなところがあります。

現在はピアノによる演奏が一般的ですが、1890年代から1920年代、ラグタイムが、アメリカだけでなくヨーロッパをも席巻していた時期には、いろんな演奏形態があったようです。今日はその中から、管楽器とピアノという編成の楽隊(バンド)のために編曲された版もいくつか聴いていただきます。この楽隊のためのアレンジは、ジャズの発祥地ニューオーリンズで踊りのために使われていたようですね。ではそういったバンドのための編曲によるラグタイムから、《キャスケード》と《イージーウイナーズ》をお送りします。演奏はガンサー・シュラー指揮ニューイングランド音楽院ラグタイム合奏団です。

[ここで音源] キャスケード/スコット・ジョプリン作曲/ガンサー・シュラー指揮ニュー・イングランド音楽院ラグタイム合奏団/使用CD=米Angel-EMI CDC-7 47193 2/演奏時間=3分31秒

[ここで音源] イージー・ウイナーズ/スコット・ジョプリン作曲/ガンサー・シュラー指揮ニュー・イングランド音楽院ラグタイム合奏団/使用CD=米Angel-EMI CDC-7 47193 2/演奏時間=3分58秒

おなじみのピアノによるラグも続けてお楽しみいただきましょう。まずは「くらくらクラシック」のテーマ音楽にもなっている《ジ・エンターテイナー》。日本でも最もなじみの深い作品では ないかと思います。2曲目はジョプリンといえばこの曲と言われるほど有名な《メープルリーフ・ラグ》です。ラグタイムはあちこちに繰り返しの多い音楽なのですが、今日お送りしますピアニスト、ウィリアム・アルブライトは、繰り返しの時に、ちょっとした飾りを即興的に付け加えているようです。では、《ジ・エンターテイナー》と《メープルリーフ・ラグ》、2曲続けてどうぞ。

[ここで音源] ジ・エンターテイナー/スコット・ジョプリン作曲/ウィリアム・アルブライト(ピアノ)/使用CD=Musicmasters 7061-2-C ("The Complete Rags of Scott Joplin." CD 1 of 2).

[ここで音源] メープルリーフ・ラグ/スコット・ジョプリン作曲/ウィリアム・アルブライト(ピアノ)/使用CD=Musicmasters 7061-2-C ("The Complete Rags of Scott Joplin." CD 1 of 2).

ではここで気分を変えて、ドラマチックなアメリカ音楽をお送りしましょう。サミュエル・バーバー作曲の《管弦楽のためのエッセイ第1番》作品12です。「エッセイ」、随筆といいますと、自由に書かれた短めの文章という印象がありますが、このオーケストラ作品も、作曲者バーバーの自由なひらめきが垣間みられるようではあります。しかし内容的には随筆といった軽いものではなく、もっとスケールの大きい冒険ドラマのようなところもありそうです。ではそんなバーバーの《エッセイ第1番》をデヴィッド・ジンマン指揮バルティモア交響楽団の演奏でどうぞ。

[ここで音源] 《管弦楽のためのエッセイ第1番》作品12/サミェエル・バーバー作曲/デヴィッド・ジンマン指揮バルティモア交響楽団/使用CD=米Argo 436 288-2/演奏時間=8分06秒

今日最後は再び「踊り」に戻りますが、南大陸、ラテン・アメリカの香り漂う作品をお送りします。タートル・アイランド弦楽四重奏団のアルバム『ダンツォン』、これはスペイン語で「踊り」、ダンスを意味する言葉なのですが、このアルバムに収録されている《グリーン・ドルフィン通りにて》という9分あまりの作品です。ラテン・アメリカ特有のリズムあり、即興的なソロ演奏ありの、情熱の音楽です。ではさっそく、タートル・アイランド弦楽四重奏団の演奏で《グリーン・ドルフィン通りにて》。

[ここで音源] グリーン・ドルフィン通りにて/CD=Koch International KIC-CD-7529/タートル・アイランド弦楽四重奏団/使用CD=Koch International KIC-CD-7529(アルバム『Danzon』)/演奏時間=9分22秒



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