Mr. Tの現代アメリカ音楽講座



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2003年4月13日アップロード


これは新潟県新津市にあるFM新津の番組「ドクターヨコサカのくらくらクラシック」において、2003年3月末に放送されたアメリカ音楽紹介の原稿です。


みなさんお久しぶりです。フロリダ州立大学院の谷口です。

今回の現代アメリカ音楽講座は、外に元気に飛び出したくなるような曲で始めましょう。アーロン・コープランド作曲の《野外序曲》です。作曲者アーロン・コープランド指揮ロンドン交響楽団です。

[ここで音源] 野外序曲/アーロン・コープランド作曲/アーロン・コープランド指揮ロンドン交響楽団/使用CD=Sony Classical SM3K 36559 (CD 1 of 3) (アルバム「The Copland Collection: 1936-1948」)

今回の現代アメリカ音楽講座、3月の終わりの放送ということで、春という季節を感じさせる作品を2曲お送りしましょう。まずは、ジョージ・フレデリック・マッケイという人の書いた、4月の組曲というピアノのための作品から、私のお気に入りの春の日に寄せて、これをウィリアム・ボルコムでお送りします。続いてはヴィンセント・パーシケッティによります《田園風》。のどかで牧歌的な雰囲気を木管アンサンブルが優しく、そして暖かく伝えます。こちらの演奏はベーム木管合奏団です。では、マッケイとパーシケッティの作品を2曲続けてお聴き下さい。

[ここで音源] 《4月の組曲》作品3から<私のお気に入りの春の日に寄せて>/ジョージ・フレデリック・マッケイ作曲/ウィリアム・ボルコム(ピアノ)/使用CD=香港Naxos 8.559143/演奏時間=1分43秒

[ここで音源] 田園風/ヴィンセント・パーシケッティ作曲/ベーム木管合奏団/使用CD=米Premier PRCD 1006(アルバム「American Winds: Volume 1」)/演奏時間=5分48秒

次はジョン・アーデン・カーペンターという人の書いた《タンゴ・アメリケーン》というピアノの小品をお送りします。タンゴはもともとアルゼンチンのダンス音楽な訳ですが、カーペンターがこの《タンゴ・アメリケーン》を書いた1920年代辺りに、ちょっとしたタンゴ・ブームがアメリカで起こったようでして、おそらくカーペンターも、その当時耳にしたタンゴのどことなくエキゾチックな性格に魅了されてこの曲をかいたんではないかと思います。

では、レイモン・サルヴァトーレのピアノで、ジョン・アーデン・カーペンターの《タンゴ・アメリケーン》です。

[ここで音源] タンゴ・アメリケーン/ジョン・アーデン・カーペンター作曲/レイモン・サルヴァトーレ(ピアノ)/使用CD=米Premier PRCD 1019(アルバム「American Piano, Volume 2」)/演奏時間=4分59秒

続いては、オーケストラのための組曲《グランド・キャニオン》でおなじみの、ファーディ・グローフェによります、ハドソン川組曲をお送りします。

曲の題材になっているハドソン川は、ニューヨーク州を流れる川で、全長約490キロメートル。現在のマンハッタンの人にとっても、ハドソン川はとても身近な存在のようです。グローフェはこの川にちなんで5つの曲からなる組曲を作ったのですが、今日はそのうちから3つをお届けします。まずは、そのままズバリの<ハドソン川>。川の滔々(とうとう)とした流れや広がりを感じさせ、水面に映る日の光が想像されます。続いては<ヘンリー・ハドソン>。イギリスの伝説的な冒険家で、オランダがアメリカを植民地とする基礎を作ったとされております。そしてもちろん、ハドソン川の名前はこのヘンリー・ハドソンからとられたのでした。一転して三曲目は、<ニューヨーク!>。英語のタイトルではこのニューヨークという言葉の後に感嘆符がつけられております。おそらくこれは、曲が作られた1950年代のマンハッタンの喧騒をにぎやかに描いているのではないかと思います。

では、《ハドソン川組曲》からの3曲、<ハドソン川>、<ヘンリー・ハドソン>、<ニューヨーク!>を続けてお送りします。演奏はウィリアム・ストロンバーグ指揮ボーンマス交響楽団です。

《ハドソン川組曲》より<ハドソン川>、<ヘンリー・ハドソン>、<ニューヨーク!>/ウィリアム・ストロンバーグ指揮ボーンマス交響楽団/使用CD=香港Naxos 8.559017/演奏時間=5分13秒

今日最後は、金管五重奏とピアノという、ちょっと変わった編成のために書かれた、3つの楽章からなる作品をお送りします。作曲したのはピーター・シックリーという人です。1978年に作曲されたこの作品、タイトルはピアノ協奏曲第2番ヘ長調で、副題は《オレ〜》、だそうです。ピアノ協奏曲などという真面目なタイトルがついていますが、実際の曲の方は洒落っけのある楽しいものです。副題の《オレ〜》というのは…とりあえず、聴いてみてください。演奏は、作曲者ピーター・シックリーのピアノとチェスナット・ブラス・カンパニーです。

[ここで音源] ピアノ協奏曲第2番《オレ!》/ピーター・シックリー作曲/ピーター・シックリー(ピアノ)、チェスナット・ブラス・カンパニー/使用CD=米Newport Classic NCD 85638(アルバム「Hornsmoke: Music of Peter Schickele」)/演奏時間=3分37秒、2分22秒、1分55秒



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