Mr. Tの現代アメリカ音楽講座



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2001年3月17日アップロード


これは新潟県新津市にあるFM新津の番組「ドクターヨコサカのくらくらクラシック」において、2001年2月末に放送されたアメリカ音楽紹介の原稿です。


みなさんこんにちは。フロリダ州立大学院の谷口です。

今月の「現代アメリカ音楽講座」は、昨年の3月にお送りして好評だった、アメリカの西部を感じさせる作品をお送りする、古き良きアメリカ--アメリカーナの特集の第2弾です。

第1曲目は、アーロン・コープランド作曲のバレエ組曲《ロデオ》です。ロデオというのは、荒れ狂う馬に乗るカウボーイたちの遊び、余興だったと思うのですが、近ごろはこのロデオも、スポーツ競技の一つとして認知されつつあるようです。例えばアメリカのケーブルテレビのスポーツ専門チャンネルなどを見ますと、このロデオを実際に見ることがあります。上下に激しく飛び跳ねる馬を、いかに見事に乗りこなすかで点数がつくようで、それによって順位が決まるようです。

コープランドの描いた《ロデオ》は、スポーツというよりは、もっとのどかな感じがする時代の、余興としてのものだと思うのですが、独特のリズム感が、いかにもカウボーイといった感じで楽しめます。

今日は時間の都合で、このバレエ組曲《ロデオ》から、<カウボーイの休日>と題された第1楽章をお送りします。演奏は、レナード・スラトキン指揮のセントルイス交響楽団です。

[ここで音源] バレエ組曲《ロデオ》より<カウボーイの休日>/アーロン・コープランド作曲/レナード・スラトキン指揮セントルイス交響楽団/使用CD=EMI (Angel) CDC-547382(写真は現在入手可能なCDになっています)/演奏時間=7分07秒

2曲目は、ドン・ギリスという人の作品です。タイトルは《ダンス・パーティー》といいます。

この《ダンス・パーティー》という作品、1曲目の《ロデオ》同様、バレエのために書かれた音楽ですが、その登場人物は、キッドという主人公、ダンスホールの娘、保安管、酔っ払いという構成になっています。

物語の詳細については分からないのですが、CDの解説を読みますと、結末は正義の味方と思っていた保安管が、実は大悪党で、酔っ払いが実は変装した正義の味方、テキサス・レンジャーだったということだそうで、主人公のキッドはダンスホールで出会った娘とめでたく結婚するということのようです。

曲全体は8つのエピソードから成り立っているんですが、それぞれのエピソードがどういう場面であるのかは、明らかにされていません。おそらくバレエそのものを舞台で見ないと、本当のことは分からないのでしょう。しかし、音を聴くだけでも、想像力が膨らんできそうな、分かりやすい作品なので、楽しんでいただけると思います。

では、ドン・ギリスの22分あまりのバレエ音楽《ダンス・パーティー》をお楽しみいただきましょう。演奏は、デヴィッド・アレン・ミラー指揮のアルバニー交響楽団です。

[ここで音源] バレエ音楽《ダンス・パーディー》/ドン・ギリス作曲/デヴィッド・アレン・ミラー指揮アルバニー交響楽団/CD=Albany TROY 391/演奏時間=22分12秒

今日最後は、ジョン・ウィリアムズ作曲の《カウボーイ序曲》です。ジョン・ウィリアムズといいますと、「スターウォーズ」「ジョーズ」「E. T.」などの映画の音楽を担当した作曲家として知られていると思うのですが、この《カウボーイ序曲》は、特別、映画と関係している訳ではないようです。しかし、さすが映画で鍛えたウィリアムズ、西部劇映画の雰囲気をうまくつかみ取って、構成良くこの演奏会用の序曲をまとめています。

ではさっそく、作曲者ジョン・ウィリアムズの指揮ボストン・ポップス管弦楽団で、《カウボーイ序曲》です。

[ここで音源] カウボーイ序曲/ジョン・ウィリアムズ作曲/ジョン・ウィリアムズ指揮ボストン・ポップス管弦楽団/使用CD=Philips 420 178-2/演奏時間=8分51秒


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