最近見たもの、聴いたもの (69)


2004年5月7日アップロード


04.3.15.

アメリカで論文を書く際、要点はいつも3x5のインデックスカードに書いていた。日本に帰って分かったのだが、この情報カード(と呼ぶらしい)、日本ではなかなかお目にかからない。だいたいそんなカードの存在さえ知られていない。地元の、それなりに名の知られた文房具屋にいってもなく、注文して取り寄せてもらった。しかし左の方に縦の線が入っているので、なんだか体裁が違う。結局この縦の線は無視して使っている。

カードを入れる箱となると、アメリカで使っていたプラスチック製のものはコレクトという会社から直接購入するしかないようだ。結局これも注文して使っている。ようやくアメリカでやっていたように、メモ取りができる環境になった。カードもここで売っているのがアメリカのものとほぼ同じデザインだ。

京大カードというのが日本では有名らしいのだが、私にはちょっと大きすぎて苦手である。


04.5.1.

「赤道音楽12日間世界一周」 (5) : ヌスラット・ファテ・アリ・ハーン 1992年12月31日 NHK BS-2放送

ハードディスク付きのDVDレコーダーなるものを購入して、少しずつビデオテープに収められた資料を移している。ファテ・アリ・ハーンを知ったのはいつだろう? ビクターのビデオ『民族音楽大系』に収められた演奏に感動した覚えはあるが、それ以前に知っていたかどうか。いずれにせよ、このころの衛星放送の音楽番組は充実していて、ちょうど「ワールドミュージック」(いわゆる非西洋のポピュラー音楽)が流行していた時期だったこともあり、民族音楽の映像も良く流されていた。

改めてこの映像を観、聴いてみると、会場がものすごく真面目だと感じた。私はファテ・アリ・ハーンはボストンのシンフォニー・ホールで体験したが、警察がステージに上がってくる聴衆を注意したいたことを思い出す(制服を着た警官がステージにずっと立っていた)。コンサート直前にも「ステージには上がらないように」というアナウンスがあったと思う。コンサートが進むにつれて、会場の興奮度も増してきていて、会場から手拍子が起こることもあったし、最後の方は足を踏みならす感じさえあった。バルコニー席が揺れるのを感じたのを覚えている。私もおもわず興奮しながら最後まで聴いていたが、コンサートが終わった直後「音楽の意味が分かるの?」と隣の女性に質問されたこともあった。私は「言葉は分からない。しかし何かを感ずるのだ」と返した。

BS-2で放送された来日公演の演奏については、コール・アンド・レスポンスでやるパターンが多くの曲にあるので、やや展開としては単調かなと感ずるところもあったが、エッセンスは充分感じ取れたと思う。

フロリダ時代には、彼を中心としたカッワーリについてレポートを書いたことがあるので、やはり懐かしい。ワールドビート/民族音楽をフィーチャーしたラジオ番組でファテ・アリ・ハーンのインタビューが行われた会の再放送をリクエストしたことも思い出した。

ファテ・アリ・ハーンは、しかしながら「本場」のカッワーリからは、あまり良い目で見られていなかったとも聞く。そういえば私が読んだカッワーリの本(Quershとかいったかな?)にはファテ・アリ・ハーンの名が全く現れなかった。いずれ「本物」のカッワーリというものも聴いてみたいものだ。


04.5.3.

「お年玉N響アワー」なつかしのマエストロたち:トスカニーニから若き日のカラヤンまで NHK教育テレビ放送

芥川也寸志が司会を務めていた頃の番組で、過去の貴重な演奏を振り返る、当時としては珍しい番組。芥川が還暦を迎えた年の正月の放送ということのようだ。この中でも面白かったのはアンドレ・コステラネッツ指揮のN響によるジェローム・カーンの《ショーボート》からの音楽。有名なミュージカルからコステラネッツ自身が編曲したもの(一説にはニューヨーク・フィル用に書かれたのだとか)。長い棒を使った大きな振りのタクトも凄いが、これがN響かと思うようなオケの音色とニュアンスに驚かされた。この公演で演奏された演目には、他にどのようなものがあったのだろう。ぜひ聴いてみたいものだ。

他に面白かったのは芥川也寸志の《交響管弦楽のための音楽》第2楽章の演奏。ソーア・ジョンソン指揮によるN響とシンフォニー・ジ・エアの合同演奏会。会場は後楽園球場である。当時はPAもなかったため聴きに行った芥川も観客席にはほとんど音が届かなかったと述べているが、貴重な映像ではないかと思う。

「N響の歩み」というフィルムからの抜粋も興味深く観た。ローゼンストックがこのオーケストラに多題な影響を与えたことは本では知っていても、こうやって見られると感覚的につかめてくる。またカラヤンがN響を振ったのは知らなかった。お恥ずかしい。

その他アンセルメ指揮の《火の鳥》から<カッチェイの魔の踊り>、ストラヴィンスキー自演の一部(これはDVDにもなった)。オマケとしてフルヴェンの《ドン・ジョヴァンニ》序曲とトスカニーニの《運命の力》序曲(もちろんこの2つはN響の演奏ではない)。

今日は上記『N響アワー』に加えて『世紀の指揮者20』、『フルトヴェングラーの思い出』(いずれもドリームライフ)などのビデオを見た。前者はDVD『世紀の指揮者21』と基本的には同じだが、コンヴィチュニーやアーベントロート、シェルヘンなど、DVDには入っていない(日本語字幕のあるベートーヴェンの演奏会の)画像があったり、あまり有名でない指揮者の映像がビデオ版には入ってなかったりで、内容の相違があるようだ。後者については、音楽番組ではない報道や文化・歴史・放送技術のドキュメンタリーから抜粋されたと思われる映像が「ごった煮」的に集められている。白黒の映像の左側に、映画風の手書きの字幕。これが非常に読みづらい。


04.5.7.

TOMITA on NHK 冨田勲 NHKテーマ音楽集 日コロムビア(NHK CD)CDCQ-83613

フクロヤで衝動買いしたCD。聴きたかったのは「今日の料理」や「ニュース解説」、「新日本紀行」のオリジナル版の音源。先日江差追分を特集した「新日本紀行」のビデオを市立図書館から借りてきたばかりだが、冒頭のテーマ音楽は新しくステレオ録音されたものだった。「今日の料理」についても全曲が聴けたのはうれしい。この曲が放送前日に半ば即興的に作曲され録音されたとは凄い。大河ドラマのテーマ音楽など、既成のCDに収録されていたものもあるが、貴重な音源だろうということで入手。

一緒に買ったのはセルジュ・ボド/チェコ・フィルのオネゲル/交響曲全集。《パシフィック231》も, かつて中学校観賞用レコードに収録されていて、気になっていた録音。


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