最近見たもの、聴いたもの(27)


2001年3月7日アップロード


2001.1.24.

バッハ 復活祭オラトリオ フィリップ・ヘルヴェッヘ指揮コレギウム・ヴォカーレ他 ハルモニア・ムンディ・フランス 90513

これに関しては、もっとインパクトのある演奏を期待していたため、やや期待がはずれた感じもしないではない。ルネ・ヤコブスがのあれば、それを聴いてみたいところだ。作品的には、独唱群によるレチタティーヴォが、北ドイツ楽派の、より古い宗教音楽の伝統を持っているのではないかと、思ったりもした。それにしてもバッハの対位法における両旋律の美しく多感なことよ。


2001.1.25.

ギャバン・ブライアーズ 弦楽四重奏曲第1番、《最後の日々》、弦楽四重奏曲第2番 バラネスク弦楽四重奏団 英アーゴ 448 175-2

彼の音楽は《Jesus' Blood Never Failed Me Yet》で知ったのだが、一応それ以来、少しずつ聴き続けている。しかし、あまり面白いと思ったことがないというのが、正直な感想。《タイタニック号の沈没》も美しいのだが、やはり長続きしない。このCDに収録された作品も、協和音を使った美しい響きのものばかりなのだが、どうもそれだけでは、感動しないようだ。私が鈍感なだけなのだろうか?


2001.1.26.

フランス歌曲集(フォーレ、デュパルク、ラヴェル) ジェラール・スゼー(バリトン)、ダルトン・ボールドウィン(ピアノ) 日デンオン CO-2252-EX

昔、大学の西洋音楽史でフランス歌曲を勉強して以来、どうもご無沙汰がちのフランス歌曲を聴こうとトライしたのだが、あえなくBGMになってしまったので、これ以上は書かないでおこう。ただ、スゼーはEMIに録音していた頃の方が良いようにも思えた。いや、このCDも再度聴かねばなるまい。

サン=サーンス 交響曲第3番ハ短調《オルガン付き》作品38 マリー=クレール・アラン(オルガン)、ジャン・マルティノン指揮フランス国立放送管弦楽団 仏エラート ECD 55001

録音のせいか、開放的な響き。鳴りのよいオーケストラだ。ミュンシュに比べると、ややのんびりした感じに聞こえる。それが、第1楽章後半の、オルガンの入った緩徐楽章の部分になると、その「のんびり」が功を奏し、情感「たっぷり」になる。この部分のオルガンの音量は、やや大き過ぎるようにも思えるが、和声の支えがそれだけ欲しいということなのだろうか。かっちりとした形式感を前面に打ち出したタイトな演奏が好みならば、ミュンシュを選んだ方がよいのだろう。マルティノンのアプローチも悪いと思わないが。第2楽章のスケルツォの勢いは驚かされるが、これはうまい「転」であると思う(これまでの音楽の流れを忘れてしまう恐れもあるかもしれないが)。同時に木管楽器の独特な音色が気にかかった。トリオから戻るさいのゲネラル・パウゼの長さにもびっくり。フィナーレのオルガンは、緩徐楽章にあたる部分の音量である程度は予想していたが、それにしても、その前のタメもあったので、強烈な印象を与えた。


2001.1.27.

今日は、資料作りの日。ウィリアム・グラント・スティルの《リノックス通り》やハリスの《時の組曲》の自筆譜(のコピー)を、書き込みができるようにと、複写。その他、マイクロフィルムで届いた、ハリスの《カウボーイの歌》、コープランドの《ラジオのための音楽》をプリントアウト。結構疲れた。またカウエルの《CBSオーケストラのためのリール》なども残っている。後は、学校のデータベースで、リー・ホイビーや、ロン・ネルソンなどについて調べる。後者は、やはり吹奏楽関係の記事が多いようだ。


2001.1.31.

日曜日(28日)に、Y社製の電子キーボードを買いました。CDの出ていない楽譜の音を、これで弾いてイメージするのが目的です。もともとは、友人が持っているC社製の150ドルくらいのにしようと思っていたのですが、結局音の良さに負けて、230ドルもする機種になってしまいました。しかし、買って以来、勉強の邪魔になるくらい楽しく使っています。この機種にして良かった〜。楽譜の音を拾うのはもちろんなんですが、なんといっても多彩な音色が素晴しい。教会オルガンの音で、賛美歌を弾いてみたり、ストリングスとピアノを組み合わせて、イージーリスニング調な曲を即興で作ってみたり。MIDIによる多重「録音」だと、楽譜で打ち込まなくていいから、楽でいいですね。ビートは無視して、自分の弾きたいようにやってみました。この方がニュアンスがでますし。なかなか本格的な音なので、惚れ込んでしまいます(っというと、オーバーかな)。ピアノの音も悪くないのですが、ペダルがないのは、仕方がないですね。やはりクラシックの人間のためには考えられていないのだろうな。今後は、MIDIケーブルをつなげて遊んでみたいところ。いや、研究に向かわねばならないはずなのに。トホホ (;_;)。


2001.2.1.

論文関係の読書。どうも最近方向が社会学的になってきているような気がする。計画書の方も、書き直すたびに、そういう感じになっている。でも、そういった社会的な文脈というのは大事だと思うんですよね。まだ、きちんとまとまった論考もないように思えますし。

音楽学のメーリングリストに入っているんですが、そちらの情報によりますと、日本でもNHKが芸術に対してどういった貢献をしたかについて考察されている方がいらっしゃるとのこと。これも面白いテーマですね。何か私も資料を知っていればお助けできたのですが、残念ながら、日本の資料がないですからねえ。学術的な調査も、まだないでしょう。

『ExMusica』第4号のゲラが届いているので、これを直さなければ。


2001.2.2.

今月は友人がいろいろコンサートをやる月だ。指揮選考のラズロ(ハンガリー人)は、前のセメスターでウインド・アンサンブルをやっていたのだが、今セメは、オーケストラ、しかも、うちの先生のラドニスラフ・クービック(確かこの人はチェコの人だったような)の新作、ピアノ協奏曲を初演するはずだ。楽しみ。教会でオルガニストをしているサリー(オーストラリア人)は、合唱指揮のリサイタル(!)をする。たしかシャルパンティエの20分あまりの作品がメインだったと思う。こちらも楽しみ。しかし、シャルパンティエというのも、不遇な生涯を送ったのね、うう〜ん。結構好きになれそうな作曲家なんだが。

また、来週は、アメリカ音楽学会南部支部大会がある。今年、私は発表しないのだが、同僚6人が、これを行う。その半分については、学校で行われたリハーサルを見ている(1月30日)。トピックとしては、まず、メンデルスゾーンの、歌曲の引用が見られる弦楽四重奏について。コーンの『作曲者の声』にもとづく、解釈学的な内容。続いて、キューバの子供向けプロパガンダ・ソングのテキストの解説。どうやら南米生まれの人なので、スペイン語は達者だったが、もう少し突っ込んだ内容も欲しかった。3人目は、「カルミナ・ブラーナ」における、聖と俗について「サイコロのミサ」というのを中心に。こちらもテキスト中心の議論。なかなか楽しめた。

そうそう、キーボードのペダルというのは、別売りなんですね(う〜ん、いつものことなんですが、「だ」から「です、ます」へと、文末がバラバラですね)。サステインというプラグはそのためにあるのか〜。しかし、サステインというのはなつかしい。エレクトーンみたいだもんな〜。あ、あれもY社製品だった (^_^;;


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