最近見たもの、聴いたもの(24)


2000年8月15日アップロード


2000.8.2.

サン=サーンス 交響曲第3番ハ長調作品78(オルガン付き) E. ニース=バーガー(オルガン)、シャルル・ミュンシュ指揮ニューヨーク・フィル 米Columbia ML 4120. (LP)

ジャケット写真

公立図書館で35セント+税で購入。長いあいだ売れ残っていたので、ついに買ってきた。第2楽章の冒頭(スケルツォ)が先週このLPを見たときから頭をかすめていたので、今日残っていたら買おうと思っていたのだ。ちなみにHayesさんによると、ミュンシュとニューヨーク・フィルというのは、珍しい組み合わせなのだそうで、この録音は、ミュンシュがボストン交響楽団に就任してすぐのころのものらしい。レコード・ジャケットの裏の解説によると、ミュンシュ、アメリカでの録音デビューとある。

《オルガン付き》というと、フィナーレの「ジャーン」と鳴るオルガンがないと困るという人がいるのかもしれないが、それだけ考えれば、この録音はアウトだろう。オルガンは頼りないし、多分、あとで別録りでいれたんだろうか、ピッチがちょっと低め。でも、ミュンシュの燃えるような感情表出、たっぷりとした旋律線、タイトなオーケストラのリードなど、見事だ。オルガン「抜き」で、十分作品を見直すことになった。カッティングレベルが高く、予想したよりも、音は悪くなかった。BSOと入れたRCA盤と比較してみたい。

ちなみに、ネットの通販を調べてみたら、この盤が11ドルで売っていた。

(02.7.4. 追記)ジャケットの著作権表示は1949年になっている。

マーラー 交響曲第一番ニ長調 ヘルマン・シェルヘン指揮ロンドン・フィルハーモニー交響楽団 米Westminster XWN 18014. LP.

 35セント2枚目。軽いフットワークで、快速のマラ1。第4楽章など、かなり端折ったところもあるが、こういのもアリなんだろうか? シェルヘンはこれまで聴いたことがないので、これがいつもの彼なのかは分からないのだが、個人的には、あまり面白いとは思わなかった。


2000.8.4.

Saint-Saens, Camille. Symphony No. 3 in C Minor, Op. 78 "Organ." Berj Zamkochian, organ; Boston Symphony Orchestra; Charles Munch, conductor. 米RCA Victor 09026-61500-2.

さっそく世評の高い、RCA盤CDを買ってきた。コロンビア盤の方は、しっかりと構築されており、作品の重要なポイントがはっきりと分かり、どこをどう聴くべきかが明確になっている。一方、RCAの方は、より自由にたゆたい、ラプソディックな性格が強くなっている。また第2楽章はスペクタクル性が増し、オルガンの響きも堂々と、迫力のあるエンディングにつながっている。個人的には、コロンビア盤も捨て難いのだが(繰り返し聴きたくなるのはこちらの方だし)、万人向けとしては、RCA盤だろうと思う。(02.7.2.訂正)


2000.8.7.

Saint-Saens, Camille. Piano Concerto No. 2 in G Minor. Mozart, Wolfgang Amadeus. Piano Sonata No. 16 in B-flat Major, K. 570. Emil Gilels, piano; Orchestre de la Societe des Concerts du Conservatoire; Andre Cluytens, conductor. 米Angel 35132. LP.

サン=サーンスが続く。ギレリスの鮮やかなテクニックが第3楽章の聴きどころ。ややダイナミクスの変化が乏しくもないが、破綻することなく快速で弾き切ってしまうのは、やはり見事。モーツァルトは対照的にデリケートな側面を覗かせる。表現の幅の広さに驚く。

Debussy, Claude. La Mer. Ravel, Maurice. Daphnis et Chloe: Suite No. 2, La Valse: Poeme choregraphique. Halle Orchestra; Sir John Barbirolli, conductor. 米Vanguard SRV 177 SD. LP.

やたらとスケールが大きいドビュッシーの《海》。楽器や和声のバランス感覚にも、疑問が残る。「印象派は、はっきりと演奏してはいけない」などという考え方は馬鹿げていると思うが、それにしても、表現がおもむろ過ぎる(あるいは趣味が悪いだけなのか?)。聴いてはいけないものを聴いてしまったような気まずさが残った。《ダフクロ》は通常よりも数小節前からスタート。こちらもかなり派手。なお、クレジットされていないが、合唱も入っている。でも最後はそれほどでもなかった。《ラ・ヴァルス》も、こういう演奏も可能なのだろうか、という発見にはなったが、楽想の流れは、ちょっとぎこちない。このLPで指揮者バルビローリが評価されることはないと思うが、いずれにせよ、不思議な音楽を聴いた心地だ。

Rachmaninoff, Sergei. Piano Concerto No. 2 in C Minor, Rhapsody on a Theme of Paganini. Agustin Anievas, piano. New Philharmonia Orchestra; Moshe Atzmon, conductor. 米Seraphim S-60091. LP.

ピアニストについても、指揮者についても、全く知らなかったが、これは意外な発見であった。ピアニストはどうやらジュリアード出身らしいのだが、特に《パガニーニの主題による変奏曲》のたっぷりとした構えと一方で見せる緊張感は見事なもの。第2楽章でややオケの技術に気になるところもあったが、大きな問題ではないと思う。第2協奏曲は、もっとオケが出てもいいのかもしれないし、アニエヴァスも、緩急をさらに有効に使うことができたと思う。全体に、やや物足りない感じだった。


2000.8.12

Dvorak, Antonin. Cello Concerto in B Minor, Op. 104. Pablo Casals, cello; Czech Philharonic Orchestra; George Szell, conductor. 米RCA Victor LCT 1026. LP.

 録音のせいか、弱音部分のニュアンスはあまりうまくでないが、全体にみなぎる生命力、渾然一体となった演奏は感動的。オケがチェコ・フィルというのも共感を呼ぶ原因なのかもしれない。CDはEMIのReferenceシリーズで発売されているようだ。この曲のCDは持っていないのだが、買うなら、このカザルスのにしようと思っている。エンディングに不満のある人もいるのだろうか? でもそれだけのことではないか。

Lalo, Edward. Symphonie Espanole, Op. 21. Yehudi Menuhin, violin; Orchestre Colonne; Jean Fournet, conductor. 米RCA Victor LM 1011. LP

 メニューインという演奏家、ルービンシュタインとともに、どうも私にはどうもピンとこないのだが、これは、それなりに楽しめた演奏。


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