最近見たもの、聴いたもの(20)



2000年7月6日アップロード


2000.6.30.

Schumann, Robert. Piano Sonata (No. 2), in G Minor, Op. 22. Murray Perahia, piano. CBS MK 44569.

第1楽章は形式的に見れば古典的なソナタ形式。しかしその形式に盛り込まれている情熱は、やはりシューマンならではのもの。ロンドで書かれた最終楽章(4楽章形式)は、ロンド主題の回帰による緊張弛緩というよりも、クライマックス(コーダ)へと突き進んでいく方向性に魅力があるのかもしれない。

ペライアは、日本ではあまり評価されてないのかもしれないが、素晴しい演奏を聴かせていると思う。


2000.7.4.

例によって独立記念日は、朝からアメリカ音楽のオンパレード。エア・チェック、たくさんさせていただきました。大半はCDからなので、作品のサンプルとして役に立つだけなのだが、ライブ放送もいくつか。FM放送午後7時からは、ワシントンDCから、世界初演の交響曲。ロバート・カピローの《D. C. CityPiece》。昨年末に聴いたウィントン・マルサリスの《All Rise》を思わせるような、なんでもござれ風の折衷音楽。特に今回はオーケストラ伴奏によるラップがポイントだったそうだ。相変わらずナイーヴなジャンル混成だと思った。無調の部分がしらじらしくあったり(戦争の場面)、愛国歌がちりばめられていたり、「企画モノ」としても、ちょっとこういうのは恥ずかしい。

8時からは、テレビと同時放送で、独立記念日屋外コンサートの中継。スラトキン指揮ナショナル交響楽団の演奏。てっきり、こういうのはいつもカンゼルがやるのだと思っていたので、驚き。例年だと、ボストン・ポップスのも見られるのだが、ケーブルテレビ代をケチって安いサービスにしたので、今年は公共放送のスラトキンだけ。チャイコの《1812年》など、ボストン・ポップスは全曲を、迷彩服着た人達の打つ大砲と一緒にやるのだが(これが、結構アバウトな打ち方!)、こちらは終わりの方だけちょっと。きれいに並べられた大砲から、白い煙がきれいに出る演出。人が見えないので、あれは遠隔操作でやっているのだろうか。それにしても、あいかわらず、テレビ番組としての作り方は、ダサい。最悪が進行役だろうなあ。もっとも日本のNHKも、こういう問題を持っているけれど。

それにしても、国歌になると、総立ちになって手を胸に当てるのは、やっぱり耐えられないなあ。あのポーズが、どうも私は苦手である。

それが終わって9時半からは、たった30分だけ、海兵隊軍楽隊ライブ・テープの放送。グールドの《アメリカン・サリュート》、ラッセル・ベネットの《古いアメリカの歌による…》(題名失念)を放送。うまいとは思ったけれど、もっと面白い曲を流してほしかった。


2000.7.5.

深夜にボストン・ポップスの番組があったようなので、3倍でタイマー録画。いつもはつまらないライブなのであまり期待せずにビデオを見ていたら、なんと今回はコープランド特集だった。しかもコープランドのインタビューまで入っているではないか。さらにオマケとして、ボストン・バレエによる、《ロデオ》から<ホーダウン>まである。残念ながら背景は、シンフォニー・ホールそのままなので面白くないけれど、とりあえず振りつけが見られたのは良かった。もちろんどれくらいオリジナルに近いのかなどは、知らないのだが。番組の終わりは、コープランドの自慢話(?)。要約すると…

アジアのどこかの国で飛行機に乗ろうとしたとき、偶然前のご婦人が2冊の本を持っていました。一冊はシェイクスピア、もう一冊はコープランドの『音楽鑑賞入門』。コープランドは、思わずその婦人に付いていき、婦人に「本にサインをしましょうか」と言いました。そのご婦人は「お願いします。でもどちらの本ですか?」と尋ねました。それに対してコープランドは言いました。「オレはシェイクスピアの方は書いてないよ!」

そういえば、今年はコープランド生誕100年(と、とある音楽雑誌 (^_^ にも書いてあるんですけど)。スラトキンのコンサートでも、《庶民のためのファンファーレ》と<ホーダウン>をやっていました。やはりこの2曲が有名っつうことなんでしょうね。前者は式典で良く使われるし、後者は牛肉のコマーシャルで流れてますから。


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