最近見たもの、聴いたもの(17)


2000年5月17日アップロード


2000.5.13.

VA. A Splash of Pops. The Boston Pops Orchestra; Keith Lockhart, conductor. RCA Victor 09026-63516-2.

「American Visions」の方が欲しかったのだが、ちょうどCD屋になくて、こっちを買ってきた。やっぱりオケの鳴り方がシャープですね〜。どちらかというと、フィードラー時代の響きに戻った感じ。ジョン・ウィリアムズの「自由のファンファーレ」は、自演もきっと良いのだろうけど、これだって、悪くない。チャイコの「1812年」は、ラストの盛り上がりに欠けたけど(大砲もイマイチ)、丁寧な演奏。その他のいわゆるセミ・クラ作品は、聴き応え充分(まあ、「作品」として聴くと、大したもんでもないですけど)。問題はジャケ(特に裏ジャケ)かな? (^_^;; でも、最近はコンサートでも「き〜すぅ〜」という黄色い声援が飛んでいるということもあるからなあ。おさかなのプリントCDはかわいいのかもしれないけど。

なお、「1812年」は、フィードラー時代から、独立記念日コンサートのラストに演奏される曲。「星条旗よ永遠なれ」は、さしずめ「ラデッキー行進曲」アメリカ版といったところか。ピッコロの立奏のあとの繰り返しには、国旗が天井から下がり、そこから盛り上がって、手拍子になるのが、いつものパターン。でもこのCDのように、合唱が入るかどうかは、コンサートによると思う。

読書感想文(NAPPの部屋♪現代音楽と吹奏楽の掲示板投稿記事。数ヵ所改訂)

お久しぶりでございます。最近日本から本を入手したので、感想など。

まずは、ののさん(ご無沙汰してます!)ご推薦の「アヴァン・ミュー ジック・ガイド」。IIIが水増しというのには、お腹をかかえて笑ってし まいました。あの辺は、これまでいろんなところに、かなり書かれてきて ますから、確かにあそこまで必要ないようにも思えますね。ミニマルと いうのも、そろそろ時代に流されていくように思えるし(というか、 「最小限主義」としてのミニマルというのは、とっくに終わっているん ですけどね)。でも、ディスクガイドは、ちょっとひねっていて興味が 持てました。

IIやVは、私も不案内なので、知りたいところですね。とりあえずは、 これを便りに、有名どころを押さえようと思っております。Iのノイズ 路線については、秋田先生の「ノイズ・ウォー」という、大変真面目な ご本を拝読させていただき、大いに刺激にさせていただいております。 しかし、私には「去勢」されたノイズが限界かなあ、なんて思ったりも するんですが。耳が大音量に慣れてないので。あとは、90年代の情報 がほしいところ(というか、この本が90年代初頭にすでに出版されていたの に、驚く有り様)。 話を「アヴァン」の方に、戻しますが、ヲノさんの「サンプリング」については、あらゆる 音が等価になるとおっしゃってましたけれど、実は「作品」創作・即興 の過程で選択という行為を経ているので、等価にはならないんではない か、という意見を持ちました。テレビのザッピングとは、ベクトルが違 うんじゃないかなあ。音源集めの段階では、そうなるかもしれないけど。

あと、ストーンがデイヴ・ソルジャーをインタビューしたもの。う〜ん、 先日、彼の「War Prayer」を聴いたけど、ゴスペルをクラシックと混ぜ たって感じなんですよね。まあサード・ストリームではないんでしょう が(モダン・ジャズでないと、これに当てはまらないという気もします し)、ミックスであるとは思いますね。でも、なぜソルジャーがこんなところに?

次、「CD200吹奏楽」について。いや〜、あれだけアメリカの作曲家、 しかも、本国でもバンドのディレクターしか知っていないような人たち が次々と紹介されているのには、正直びっくりです。それだけ需要があ るってことなんですかねえ。あんまり「吹奏楽おじさん」ってひねくれな くてもいいと思うんですが(私も「民話」好きですし…あ、私もおじさん かな)。こちらで以前問題になった吉松さんの文章、私は割と冷静に読 めました。今日の作曲家が吹奏楽に目を向けてくれないのはなぜか、と いうのを、あえて個人的な立場から本音で言ってみたのかな、という印 象でした。まあアメリカのバンド音楽差別ってのも、たぶん並ではない と思うので、状況は日本の方がいいのではないでしょうか。「吹奏楽撲 滅運動」を展開したら怒りますけど。

前述した秋田昌美著「ノイズ・ウォー」ですが、クラシック頭の私には、 発想の転換ができるような切り口で、楽しかったです。現代美術・未来派 ・コンセプチュアル・アート・マルチメディアなど、ノイズというのも、 時代の寵児なんですね。まだちゃんと読んでませんが、勉強になりそうで す。

「CD200映画音楽」。これもアメリカ音楽の大切な一面なんですが、 どうも私はこちらの方まで手が回らないなあ。でも、興味は出てきまし た。

あとは、巻上公一の「声帯から極楽」を読み始めているところです。

とりあえず、とりとめもなく、こんなところで。


2000.5.14.

Bruckner, Anton. Symphony No. 3 (1873 Original Version., Nowak ed.). Royal Scottish National Orchestra; Georg Tintner, conductor. Naxos 8.553454.

アメリカのネット・ニュースで評判だったので、2番とともに買ってきた。ノヴァーク1873年のオリジナル版とある。第1楽章だけで30分もあるが、長さを感じることはなかった。「ウィーン・フィルの音色でないと」という人には、この金管楽器の音は、随分うるさく聞こえるのかもしれないが、私は、さすがスコットランド(UK系は全般にこんな感じだけど)のオケだと思う。アーノンクール盤を聴きながら、ワーグナーの音楽との関連を聴いた私だったが、この演奏では、そういったことは一切考えることがなく、ひたすらブルックナーのオリジナルさに耳がいった。アーノンクール盤にはない部分も、当然多くあった。それが曲をやたらに長くしているため、当時はいろいろ批判があったのかもしれない。しかし、私は、ブルックナーが同時代の音楽から、広く影響を受けていたことも分かったし、そんなに悪い音楽のようにも思えない(もちろん、演奏による功績も大きいのであろうが)。しかし、ここまで行くと、もう形式を考えながら聴くというのは、かなりしんどい。よく音楽がつながっているものだと、感心するばかりだ。なお、第1楽章の最後は、恐ろしいくらいのリアリティーがある。

こんなCDが5ドル99セントでいいのだろうか?


2000.5.15.

Winds in Hi-Fi. Eastman Wind Ensemble; Frederick Fennell, conductor. Mercury MG50173. LP.

Grainger: Lincolnshire Posy; Rogers: Three Japanese Dances; Milhaud: Suite Francaise; Strauss: Serenade in E-Flat Major, Op. 7.

公立図書館にて、35セントで購入。グレンジャーは有名な曲だと思うんだけど、この演奏は、ちょっとマッチョかもしれない。バーナード・ロジャースの3つの日本舞踊は、第1楽章がいかにも、という異国趣味的音楽。声楽の入った、第2楽章は、特に日本がどうの、と考えずに聞けば、なかなか神秘的(でも、舞曲というイメージとは違うかもしれない。舞楽とか能舞だと思えばいいのかな)。第3楽章はワイルドな舞曲。これも日本風ではない。A面のみ、部屋を片付けながらのBGM。


2000.5.17.

Gordon, Michael. Weather. Ensemble Resonanz; Evan Ziporyn, conductor. Nonsuch 79553-2.

弦楽オーケストラがミニマル風の音楽を鳴らすところに、時々「具体音」が入ってくる作品。それ以上のものは感じなかった。どうやらお金を無駄づかいしてしまったようだ。ジポリンというのは、確かBang on a Canフェスティヴァルの主催者だったかな? ガムランの作品も書いてたっけ。


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