最近見たもの、聴いたもの(15)


2000年5月7日アップロード


2000.4.21.

Strauss, Richard (1864-1949). Death and Transfiguration (1889). The Philadelphia Orchestra; Eugene Ormandy, conductor. Columbia ML 4044. LP.

近所の公立図書館で30セントで購入。盤質がそれほど良くないので、ノイズも多いが、オーケストラの技術の確かさ、きっちりしているオーマンディーの棒は面白く聞けた。あまり「泳ぐ」という感じがしないので、カラヤン・ファンはダメかな? スタジオ録音だと思うが、かなりオン気味。今度はステレオ盤で聴き直したい。

Wagner, Richard (1813-83). Tirstan und Isolde: Love Duet (Act II, Scene 2). Helen Traubel, soprano; Torsten Ralf, tenor; Metropolitan Opera Orchestra; Fritz Busch, conductor. Columbia ML 4055. LP.

この音源の他には、クライバーの全曲盤しか持っていないのだが、このブッシュ指揮の録音は、前LPと同じで、かなりオンな録音。たっぷりと、余裕のある歌いっぷりだが、イゾルデのトラウベルは、歌いだしをややためるクセがある。オケは、録音のせいかもしれないが、実際の上演よりも小さい編成ではないだろうかと思う。


2000.5.2.

Shostakovich, Dimtri. Symphony No. 3 in E-flat Major, Op. 20 ("May Day"). Royal Philharmonic Orchestra and Chorus; Morton Gould, conductor. RCA Victor LSC-3044. LP.

ジャケには世界初録音とある(A面は第2)。何やら共産主義革命を表わす旗や工場や人民の前にでかでかとショスタコが描かれている。

それにしても、随分といろんな要素が入り乱れている作品だと思う。中国の文化大革命期の音楽に比べて、まあ比較するのもあまり適切ではないだろうけど、一筋縄で自国賛美とは行かないところが面白い。紆余曲折(うよきょくせつ)あってこそ達成されろものがあるという印象。闘争の後のプロレタリアート的勝利ということか(う〜ん、我ながら、陳腐で表面的な考え方--勉強不足です)。

ロイヤル・フィルは、本当によく鳴るオケだし、その機能性とスタミナには驚くばかり。明るく開放的で、アクションも大きい。人によっては、もっと深遠なものを求めるのかもしれないが、私は、すんなりと曲に入れたということで、この演奏を評価したいと思う。合唱のロシア語はどうなのか、私には分からない(せめて対訳をつけてほしい)。

録音は結構うるさい。オケのパワフルなこともあるが、特に合唱が入ってからは、聴くのがちょっとしんどい。

A面は第2交響曲。構成の締まり具合はあまりないように思われたけれど、風変わりなオープニングが印象に残った。このLPは、結構いいと思うんだが、CDにはなっていないのだろうか?


2000.5.4.

Bruckner, Anton. Symphony No. 8. Munich Philharmonic Orchestra; Hans Knappertsbusch, conductor. Music Guild (ABC Records) MS 62008. LP.

第1、2楽章とも15分あまりの長さだが、音楽の中味はかなり違ったように聞こえる。前者が感情のうごめきの凝縮された濃い音楽であるのに対し、後者は、やはり、あの、と思わせる反復を生かしたブルックナーらしいスケルツォ。クナッパーツブッシュは第1楽章を力強く説得力のあるものにしていると思う。第3楽章は、ゆっくりとしたテンポ。私は途中で集中力を失いかけてしまった。第4楽章は、前半楽章よりもおっとりした感じ。やや曲をつないでいくのに苦労しているようにも思われた。

Sollberger, Harvey. Divertmento/Impromptu. Lerdahl, Fred. String Trio/Piano Fantasy. CRI SD 319. LP.

BGMになってしまったので、あまり書こうとは思わないが、無調音楽を一生懸命に書いたのだろうな、という印象は残っている。


2000.5.6.

Brukner, Anton. Symphony No. 9 (original version). Pro Musica Symphony, Vienna; Jascha Horenstein, conductor. Turnabout Vox VT 34356. LP.

私は残念ながら、版の違いが分かるほど、ブルックナーはしらないのだが、この版の出版されたのが、死後30年、1934年になってからというのは驚き。Kurt Stoneのライナーによると、その前の楽譜は、かなりワーグナーっぽく歪曲されていたのだとか。

この曲は、以前ショルティ/シカゴ響で聴いたことがあったのだが、いつも第1楽章が好きになれなくて(ひどく混乱しているような印象。何か怒りのような表情は感じているのだが)、きちんと聴き通したことがなかった。今回、こうやって改めて聴いているのだが、特に第3楽章は、これまで聴いたブルックナーにはない、深い味わいがあり、感心した。未完成の交響曲の緩徐楽章には、何か特別のものがあるに違いない、と平凡な考えが、つい頭をよぎるのであった。

演奏するオーケストラは、おそらくそれほどずば抜けて個性があるとか優れているということはないのかもしれない。しかし、しっとりとした鳴り方によって、作品の良さがにじみでてくるという感じはあった。


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