最近見たもの、聴いたもの(14)


2000年4月29日アップロード


2000.4.23.

ハイドン 交響曲第49番「Passion」 NPR「Performance Today」放送

この曲には「Passion」というニックネームがついているのだが、その由来は謎らしい。少なくともハイドン自身によるものではないそうだ。ハイドンの疾風怒涛期の最初に当たるそうで、確かに第1楽章が緩徐楽章、第2楽章が燃えるようなアレグロというのは斬新的であり、「受難」を感じさせるものがあったのかもしれない。こういう音楽のドラマは、モーツァルトにも通づるところがあると思うのだが、ハイドンというのは、単に形式を確立した作曲家でないことが、よく分かる。


レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ グリーンスリーブスによる幻想曲 ローザンヌ室内管弦楽団

昔この曲を聴いた時(確か、コステラネッツ管弦楽団だったような)、どうも陳腐な民謡アレンジと思ったことがあった。しかし、この演奏を聞いて、それが誤解だったと感じた。ローザンヌ室内管弦楽団の、恰幅のよい響き、スマートな進め方のおかげで、RVWが本当にイギリスの音楽伝統に思いを馳せていることが感じられた。


2000.4.26.

シューベルト ピアノ三重奏曲ロ長調 フォンティネー・トリオ シカゴ大学、マンデル・ホールでのライブ NPR "Performance Today" 放送

第1楽章は、フレーズをはっきりさせようとしているのか、やや切り気味に演奏していたようだが、若干潤いに欠けてしまったように思えた。録音のせいか、アンサンブルのせいか分からないが、響きもやや閑散としている。第2楽章以降は、流れがよりスムーズになったようなので、聞きやすくなった。各楽章の自発性も、ぐっと増している。三重奏は、共に響くだけでは面白くないので、積極的な音楽づくりは、特にフィナーレで効果的だった。なお、この団体はテルデックに録音しているとのこと。


2000.4.28.

武満徹 Dream Window オリヴァー・ナッセン指揮ロンドン・シンフォニエッタ NPRラジオ放送

これは、日本庭園を扱った同名のテレビ・ドキュメンタリーで使われたものだっただろうか?

演奏としては、ある程度のレベルは確保していると思うのだが、美しい和音を重視するあまり、線的な楽想の進み方が聞こえてこないと思った。内的な世界と外的な世界を結ぶのが窓なのだそうだが(ラジオの解説より)、どちらの世界にも、もっと心に迫ってくるような、時に毒々しいようなものもあるのではないだろうか。本当は作品にそういうところもあるのではないか、とも思ったのだが。


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