最近見たもの、聴いたもの(11)


2000年3月24日アップロード


2000.3.23.

ヘンデル フルート・ソナタ集 フランス・ブリュッヘン(ブロックフレーテ、トラヴェエルスフレーテ)、ボブ・ファン・アスペレン(チェンバロ、オルガン)、アンナ・ビルスマ(チェロ)日RVC (Seon) R32S-1007

随分前に、日本で買ったもの。大学の教養で音楽の授業を取ったとき、リコーダーをやることがあり、有名なイ短調作品1の4のソナタ、第4楽章をやったのがきっかけ。なぜこのCDを選んだのか。たぶん先生が持っていたからだろう。今は、同じ値段くらいで、木管楽器のソナタ全曲が買えるはず。いずれ入手してみたい。

でも、ブリュッヘンの独特なニュアンス(ポルタメント的な奏法もあるが、全く嫌味なところがない)、アーティキュレーションの見事さ、品の良い即興的な装飾など、私は、この演奏が気に入っている。久しぶりに聴くと、リフレッシングだ。ソナタ形式ができ上がる前のソナタということで、楽式論的にも面白い作品群だと思う。


2000.3.18.

シベリウス 交響曲第3、6、7番 コリン・デイヴィス指揮ボストン交響楽団 蘭Philips 9500 292 [LP]

シベリウスをまとめて聴いたことがなかったので、聴いていない曲中心にトライ。やはり2番や5番ほどにはアピールしなかったけれど、これはデイヴィスの指揮のせいかもしれない。1・2番にしても、なんだか倒れそうな演奏だったからな〜。それにしても、30分以内の短い交響曲というのは、面白い。どういう形式観をもってシベリウスが交響曲に臨んでいたのかが、興味のあるところだ。


2000.3.17.

ベートーヴェン ピアノ・ソナタ作品27の2、「月光」 エフゲニ・キーシン(ピアノ) 米BMG 09026-68910-2

全く期待せずに聴いたためか、第1楽章以外は割と楽しめた。終楽章など、中間部のアーティキュレーションなどが気にかかる人がいるかもしれないが、オーケストラ的な効果をきっちり指に収めた上に築き上げているところは、評価すべきであろう。作品構成についても、クリアなアイディアが感じ取れた。しかし同時収録のフランクの「前奏曲、コラールとフーガ」になると、アシュケナージ風にダイナミクスで攻める点が前面にでてくるため、対位法の絡みなどがぼやけてくる。特にフーガに入ってからは聴くのが辛くなって、途中で止めてしまった。ブラームスの「パガニーニ変奏曲」作品36は、聴いていない。

ブルックナー 交響曲第5番 ハンス・クナッパーツブッシュ指揮ウイーン・フィル 米London CMA 7208 [LP]

ステレオで録音されたそうだが、このLPはモノラル。ウイーン・フィルの豊かな響きが生かされ、きっちりと手綱も引き締めた聴き応えのある演奏。これまでブルックナーはどれも似たり寄ったりだと思っていたところもあるが、この作品を聴きながら、多様な表現語法も、持っているのだと、感心。もちろん「やっぱり」はあるのだが。


2000.3.7.

ショパン ピアノ・ソナタ第2番「葬送行進曲」 ウラディミール・アシュケナージ(ピアノ) 米ロンドン CS 6794

ライブ録音。アシュケナージのピアノは、骨太でインパクトのある音を出すのだが、やや輪郭がぼやける傾向にあり、作品の焦点もはっきりしないところがある。確かにダイナミクスもうまく使っているようだし、立体的に響く箇所もあるのだが、もっとシャープで分かりやすく弾けるように思う。やや勢い任せになるところも気にかかる。もちろん、これはこれで、説得力のある音楽作りが可能だと思うが。第2楽章などは、声部が入り組んでくると、音が団子状になる危険性もある。ショパンというのは、もっと対位法的な面白さもあると思うんだが。


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