音楽雑記帳(34)



フロリダ州立大学の音楽図書館

2002.1.16.


私の故郷のタウン情報誌『グッドラックとやま』に自己紹介エッセイを載せることになり、その際、私のいる音楽図書館の写真も送ることにした。今回はその中から、このサイトをご覧のみなさんにも、いくつかご披露させていただきたい。

まずこちらはレコードのコレクション。フロリダ州立大学の音楽図書館には、約1万5千枚のLPレコードと、若干数のSPレコードが置かれている。

もっともこの大学図書館の場合、資料は保存用というよりも、実際に使われることを主眼に置いているので、例えば同じ音源がCDにもある場合は、LPレコードが除籍されることもあるのだという。事実ここにあったダブりのLPは、すでに「図書館セール」にて、1枚25セントで売りに出された。その中には、ショルティの《指輪》もあったそうで、お値段は6ドルぐらいだったとか。

私がお昼に行った時は、そういった掘り出し物というのはあまりなかったが、例えばカレル・フサの弦楽四重奏(米エヴェレスト)やピアノ作品集(米ゴールデン・クレスト)、ビリングスのアンセム集(米コロンビア)など、アメリカものを中心に、何枚か入手することができた。今度はCDになっているLPが売りに出される可能性があると知って、学位取得前にセールがあるといいなあと勝手なことを考えている。CRIとか、ニューワールドとか、出ないかなあ。

なお、本や楽譜と違って、このレコードやCDの棚は普段は係員しか入れないのだが、今回は「取材」ということで特別に入れてもらった。本音をいえば、こうやってジャケットを眺めながらレコードやCDを探すのは、時間をあっという間に忘れるくらい楽しいのだが、それはある意味、私がかかった病気の一種なのかもしれない。

次はCDのコレクション。現在は1万5千枚ほど。日本の音大だったら、もっと所有しているところもあるのかもしれない。コレクションはLP同様、クラシックやジャズ、民族音楽が中心で、若干数映画音楽やポピュラー音楽も置いてある。授業にはロック史もあるのだから、そういうのも必要になってくるはずなのだが、あまり入る気配はなさそうだ。

なおCD(LP)は特に分類を設けず、入荷順に番号ば付けて入れるだけだ。図書館員に聞いたところによると、録音物の場合、一つのCDなりLPに、2つ以上の分類にまたがるものがあるということで、それを一つの分類にするには無理があるからだという。例えば、ベートーヴェンの交響曲と、シューベルトの管弦楽曲が一緒に入っているCDの場合、これはベートーヴェンで分類すべきなのか、シューベルトに分類すべきなのか迷うし、交響曲で分類すべきか、管弦楽曲で分類すべきか分らない。結局検索機能はコンピュータに任せることにして、CDは、番号のみで通すことにしているのだそうだ。まあ、それも実際的でいいのかもしれない。

また、この写真にあるCDの引き出しにはCDが1枚ずつ入るような溝がついている。そのため、2枚組や解説のついた「箱モノ」と呼ばれるものが入らない。そこで、写真でいう後ろの壁面に「oversize」という棚が別に設けられており、「箱モノ」はすべて、そちらに収められている。コンピュータで検索すると、こういった「oversize」ものの「蔵書番号」にはアステリスク(*)あるいは、「Oversizeに収蔵」という但し書きが付けられている。ああそうそう、もちろんビデオやLD (^_^;;、DVDも所蔵しているし、学生の演奏会を収めたDATテープもある。
 
最後に楽譜のコレクションから、オペラ・スコアのセクション。いわゆる全集ものなどの学術調査用の楽譜は1階にあり、ここは2階の実用譜の場所。もちろん全集版がないものは、ここから探すことになる。1階はCDを聞いたり、コンピュータでインターネットする学生が多いが、2階はレポートのための文献調査や、今度演奏する曲の楽譜を探す学生などが多く来る。

なお本や楽譜の製本だが、発注して独自のカバーを付けてもらうことも多い。ペーパーバックの場合はそのまま置いておくと本が曲がってしまう恐れがあるので、わざわざ頑丈な表紙を付ける。室内楽などの場合はスコアが製本されていて、最後のページにパート譜が、ポケットのようなものの中に入れられている。もちろんパート譜の表紙も補強してあることが多い。図書館員が返却の時困らないように、パート譜のポケットの辺りにはパート譜がいくつあったのかが表示されている。

いずれにせよ私の大学の音楽図書館は、実践的な面も考慮した使う図書館といった感じではある。



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