米国海兵隊軍楽隊の録音


「アメリカ文化センターが贈る、米国海兵隊軍楽隊」 RCA Victor LSP-2687/LPM-2687. LP.

アメリカの軍楽隊によるバンドの演奏は、数多くがレコードやCDになっているのだが、その大半は公共事業や教育活動として放送局や各種学校に配布されるだけで、一般に入手することはできない。運がよければ中古屋に軍楽隊の「特製レコード」が流れてくることもあるが、かなり希(まれ)である。

大学に音楽学部のあるところには、ときどき軍楽隊のレコード・ CDが入る。私のいるフロリダ州立大学では、LP初期の時代から、数十枚あるようだ。注目のコレクションとしては、LP18枚によるジョン・ フィリップ・ スーサの全作品集がある(海兵隊軍楽隊による。日本には4セットあるらしい)。これは随分前にNHKの「ブラスのひびき」で少しずつ放送されていたものである。ところがこのシリーズ、第1巻(LP2枚組で1巻となる)だけが大学図書館にない。がっかりしていたところ、同じ町の公立図書館にこの第1巻のみが置いてある。残念ながら公立図書館のレコードはかなり痛んでいたけれど。

という訳で、米国軍楽隊の録音は一般にはなかなか入手困難なのだが、RCA Victorは特別な許可を得て、空軍・ 海兵隊・ 海軍の3つのバンドを集め、それらの演奏を初めて商業的録音として発売した(とジャケットに書いてある)。どうやら1963年のことらしい。

私は3つの楽隊による3枚のLPのうち、空軍(これが一番欲しかったのだが!)をのぞく2つをボストンの中古レコード店で見つけ、購入した。一枚3ドル99セントという値段はそれほど高くない。

海兵隊のレコード内容はマーチを中心とした愛国主義的音楽で、おそらく数々の式典で好んで演奏されてきた作品群であろうと思う。手慣れた感じが伝わってくる楽しいレコードである。おなじみのスーサ作品からは、公式マーチである<忠誠>や代表作<星条旗よ永遠なれ>が収録されており、その他には、バーバーの<コマンド・ マーチ> 、アンダーソン<トランペット吹きの休日>、<海兵隊賛歌>などが収められている。(1998.8.8.)


Uncommon Valor. "The President's Own" United States Marine Band. Colonel John R. Bourgeois, director. The United States Marine Band, no number [CD].

 6月末のラジオ番組のために、愛国主義的な曲にたくさん触れている訳だが、あらためてこのCDの内容を確認して驚き。てっきり商業発売されているThe Blessings of Libertyと同じだと思っていたら、トラックが6つも多いではないか。しかも海兵隊の公式マーチ、スーザの「忠誠」が入っている。う〜ん、これは一般庶民は別に発売されているSousa Originalsを買えということか。カットされた曲の中には、Robert JagarのEsprit de Corpsもある。まぁ相変わらずの作品といえばそうなのだが、それを真面目に演奏するとかなり格好良くなるもんだ。バーバーの<コマンド・マーチ>もバンドのメンバーの自発性に富む名演。海兵隊軍楽隊が演奏するとこんなにも華麗で荘厳になるのか。これらの録音も、ぜひ一般発売してもらいたい。(1999.5.16.)



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