クラム:マクロコスモス第1番
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エミ・ヘンツ=ディエマンド(ピアノ)
Migros-Genossenschafts-Bund (MGB) CD 6091.

ピアノは鍵盤を叩くと音がでるのだが、それ以外にも音の出し方はある。アメリカの実験音楽の作曲家ヘンリー・カウエルは、ピアノの「箱」の中にあるものを鳴らす方法を考えた。一般に「内部奏法」と呼ばれるのがそれである。ガリガリ、ギーギーとピアノ弦をこする音や弦を叩くブンブンという音は、それそのものがとても魅力的だが、クラムはそういった音素材を意味のある効果的音楽表現として作品の中に投射している。そういう点で、<マクロコスモス>は魅力的な作品である。それだけでなく、第5曲のように、ピアニストの内部奏法やピアニストの声(叫びやうなり声)がアンプを用いて拡大され(クラムお得意!)、幽霊的・悪魔的な生々しい響きが形成されることもあるし、おなじみのピアノ曲の引用もある(第11曲目)。現代に生きる作曲家が多様な過去の遺産を利用しながら現代の音楽を作っている実例であろう。(98.6.18.)



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