ニコライ・ベレゾフスキー (Nicolai Berezowski, 1900-53) の音楽
クリスマス祝祭序曲 作品30 第2番 (Christmas Festival Overture, Op. 30 No. 2)
アーサー・ベネット・リプキン指揮オスロ・フィルハーモニー管弦楽団 (Oslo Philharmo
nic Orchestra; Arthur Bennett Lipkin, conductor).
CRI


以下、レコードのライナーノートを翻訳・要約したものを書き記す。

ベレゾフスキーはロシア革命前のロシアに生まれ、声楽、ヴァイロイン、ピアノを学び、1916年にサンクトペテルブルグ宮廷聖歌隊から卒業。サラトフやモスクワの歌劇場管 弦楽団においてヴァイオリン奏者を数年経験後、西側に行くことを決意。1922年にニューヨークに到着し、ヴァイオリン奏者として頭角を現す(ニューヨー ク・フィルとクーリッジ弦楽四重奏曲のメンバーだった)。さらに指揮者、作曲者としても知られ、ボストンのセルゲイ・クーセヴィツキーがベレゾフスキーの 演奏をすすんで取り上げ、4つの交響曲がボストンやその他のアメリカのオーケストラで取り上げられた。ベレゾフスキーの作品には、他にハープ協奏曲、チェ ロと管弦楽のための《コンチェルト・リリコ》(ピアティゴルスキーとクーセヴィツキーにより初演)、ヴァイオリン、ヴィオラ、テレミンを独奏楽器にした協 奏曲、弦楽四重奏曲、木管五重奏曲、ギルガメシュのバビロニアの物語を題材とした大スケールのカンタータも書いている。

ベレゾフスキーの大作の作風の特徴は、プロコフィエフを出発点とした、大戦間のフランス=ロシア風と呼べるが、活気ある軽妙な作品を作曲する才能にも恵ま れており、亡くなる数ヶ月前には、ジャン・ド・ブリュノフによる有名な絵本『ぞうのババール』をオペラ化した作品で成功を収めている。

ベレゾフスキーの《クリスマス祝祭序曲》は、そんな彼の軽妙な路線における楽しい作品の一つで、ウクライナの子どもたちのクリスマス・キャロルにもとづい ている。ハワード・バーローが委嘱をし、1943年12月23日、ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団によって初演された。

作曲者ベレゾフスキーによると、ロシアのクリスマス・キャロルで最も有名なのは、そのほとんどがウクライナから来るコリヤドキ (koliadki)というのだそうで、この序曲においても、クリスマス・イヴに子どもたちが家から家を歌い踊りながら歩き回る時に歌うコリヤドキの何曲 かを使ったという。(2019.01.02.執筆)






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