2006年3月29日
[Misc.] 音楽が時間経過を忘れさせる
『アラビアのロレンス』と『パットン大戦車軍団』という2つの映画を最近観ました。どちらも一人の軍人の複雑な人となりを映画にしたという点は共通しています。しかしその他の状況設定や表現方法は大きく違います。音楽にしても前者はフランスのモーリス・ジャール、後者はアメリカのジェリー・ゴールドスミス。ジャールはテーマ音楽も有名なロマンティックでエキゾチックなスコア、ゴールドスミスはエコー (フィードバック?) を利用したトランペットが印象に残る、どこかしら突き放した感じのする、さっぱりとした味付けのスコアリングです。
ということで両者の作風は、まるっきり違うと考えてよいと思うのですが、音楽の使い方には共通するものがありました。それは映像としては単純ながら時間の経過を感じさせる必要のある部分に音楽が有効であるということです。たとえば『アラビアのロレンス』の前半は砂漠の風景と音楽で持たせている部分が多い。『パットン…』でも最後の、雪の中の大移動のシークエンスがこのような扱いを見せています。一般に『パットン…』は作品全体におけるスコアの割合が少ないことで有名なのですが、この場面は例外的に音楽で持って行くところがありますね。ディズニーだと《ハクナ・マタタ》を踊りながらシンバがいきなり大人になったりする場面。『ターザン』でもこれと同じ手法が使われています。そういえば『ムーラン』の《闘志を燃やせ》でも歌が終わるまでには兵士たちが鍛えられることになっています。
ところで『アラビアのロレンス』の音楽は、はじめウィリアム・ウォルトンとマルコム・アーノルドの2人に頼もうとしていたそうです。ところが2人とも断ったそうです。アーノルドなんかはデヴィッド・リーン監督と、以前にも『戦場にかける橋』をやってるんですけどね (私はけっこう好きな映画。元POWに言わせれば、日本人の捕虜の扱い方はあれよりもずっとひどかったということだそうですが) 。
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ディズニー・プロジェクトの途中段階の原稿を提出して、現状報告。とりあえず気に入ってもらってほっと一息。また忙しくなりそうです。ポール・クレストン関係資料の本格的な整理も今日から開始です。
投稿者 cs3daime : 21:21 | コメント (2)
2006年3月26日
[発想メモ] 折衷と「折衷主義」
バーンスタインが『答えのない質問』で、将来の作曲は折衷主義になるといったことを言っていたそうです。
人間であるがゆえに「0からの創造」はありえない、そういう視点からすれば、人間によるすべての創作は折衷であるといえるかもしれません。しかしこれが「折衷主義」となると、違ったニュアンスを持つように思います。そこには、聞き手が「明らかに混ざらない」と前提した複数の異なった作風が一つの作品に現れる必要があるのではないかということです。
サード・ストリームでも、1つはジャズ、もう一つはクラシック(後に彼は「ジャズ」を「あらゆる民族音楽」に変更したようですが)という、別に混ぜる事はかまわないのだが、しかしながら少なくない割合の聞き手が何となく違和感を感ずる、そんなところに、「折衷主義」が主義たる要素があるのだろうか、と思ったりもします。
美術、彫刻、建築のいわゆるポスト・モダンとかいうのには、一つの空間に同時間的に多様なスタイルがクラッシュする面白さがあるように思えるのですが (もちろん人間の眼が特定の作品を一度に見渡すことができないという可能性は否定しませんけれど)、音楽の場合はいくつものスタイルを同時にというのは、すでに「対位法」という技法に還元されてしまうという恐れもありますし、そもそもポピュラー音楽っぽいものに無調音楽をクラッシュさせても、耳の方はポピュラー音楽っぽい聴きやすい方に流されてしまうんではないかとも思えてしまう (もしかしたら好みのせいで、逆になるのかもしれない) 。
そうでなければ、最初の1分はマーラー風、次の2分はテープ、次は内部奏法、さらにバロック風といったような感じになってしまうのでしょうか。いや、どこかにオーバーラップするところもあるだろうし、このうち1セクションは完全にミックスにするということも可能でしょう。いずれにせよ、音楽の場合、同時間的なミックスというのには限界があるのだろうな、という気がします。
バーンスタインの《ミサ》にせよ、ウィリアム・ボルコムの《フレスコ画》にせよ、「折衷主義」というのは、いくつかの作風が一つに統合されるというよりは、統合されるまえのむき出しのものが時間を置いて現れる、並列的なものになりやすいのかな、という気がします。
投稿者 cs3daime : 23:24 | コメント (0)
2006年3月23日
[Movie] チャップリン映画2題
引き続き原稿の改訂、文体の変更などの作業。それに加えてマーガレット・ブローワーとジョン・ケージの打楽器作品に関する調査など。
『黄金狂時代』 (1924) Culture Publishers CPVD-1173 (DVD)
一抹の物悲しさも盛り込まれた作品でした。各シークエンスがコメディとして成立する一方 (例外もありますが) 、全体に漂う心のすさみ、孤独感というのが強く伝わってきます。名作だそうなので、私が語らずとも、多くの評論があるとは思いますが。音楽はオルガン即興によるものでした。なかなかよく付いていっていると思います。ダンスのシーンに《美しく青きドナウ》を引用、と。
このレンタルDVDは「淀川長治監修『世界クラシック名画100選集』94」なのだそうです。冒頭にある淀川長治さんの解説は、ご自分の着想によって「チャップリンはこれで終わりだ」と思ったことだとか、映画のラストのことなどをしゃべってしまってしまうので、かなりマイナス。最初から「最高傑作」だのどうとか、「こわいこわい…」も、申し訳ありませんが、邪魔だと思いました。途中で止めて本編を観たのは正しい選択でした。もちろん本編の後にコメンタリーとして観るのはそれなりに良かったとは思います。オープニング・シーンにはモデルとなった写真とあったことなど、とても面白かったです。
あと、日本語字幕が消せた方がありがたかったです。え、ソフトを買いなさい、ですか。どうもすいません (^_^;;
『街の灯』 (1931) 朝日ビデオ文庫「チャップリン作品集5」 (VHS)
今のところチャップリンで一番好きかもしれません。月並みですが、最後のチャップリンの表情が素晴らしい。そして、盲目の女性との再会場面、「声聴いたら分かっちゃうのに」「あ、サイレントだからいいのか」と納得しながらみましたが、結局あれも確信犯的なんでしょう。サイレント映画がサイレントだったのは、一部には技術上の必然でそうなってしまったところがあったのでしょうが、これはトーキー時代のサイレント様式映画ですからね。
ただ江藤文夫著の『チャップリンの仕事』の当該箇所を読むまでは、冒頭のチャップリンが浮浪者だというのが分からなかったりします。どういう人物かというよりは「チャップリン」としてのイメージがあまりにも強いからでしょうね。話の文脈で何となく分かってくるのですが。
サイレントの様式でやってますけれど、音楽は自作してるので、一応トーキー映画ともいえるんでしょうか。即興演奏によるピアノやオルガンでは不可能な、スライディング・ホイッスル、そして (様式化された) ボクシング・シーンにおけるゴングなどは、やっぱりトーキーならではの効果でしょう。 「パントマイム」というのは、時代的逆行の現実を和らげるために付けられた副題なのかもしれませんが、全くその通りのストレートなネーミングで好感が持てます?
投稿者 cs3daime : 23:31 | コメント (1)
2006年3月19日
[LP] マッカーサー OST/Contrasts in Brass 2
ジェリー・ゴールドスミス 映画『マッカーサー』サウンドトラック ビクター音楽産業 (MCA) VIM-7227 (LP).
なぜかヤフオクでLPレコードを安く購入しました。先日から昔エアチェックした映画音楽のテープを整理していたら、偶然『マッカーサー』よりメイン・テーマというのをみつけ、気に入ったので調べてみたら作曲者が有名なジェリー・ゴールドスミスというので、たったそれだけのために購入してみたのでした。ちなみに私のエアチェック・カセットには、ほかに『ワイルド・キッズ』のテーマ、『ナヴァロンの嵐』という曲も入っています。おそらくNHKの『夜のスクリーン・ミュージック』という関光夫さんの番組で放送されたのでしょう。
最近発売されたゴールドスミスのドキュメンタリーDVDによりますと、彼は因習的な楽器から新しい音を引き出したり特殊楽器を使ったりしていたそうで、演奏家の間ではいつも話題にされていたようです。おそらく彼がつねに現代音楽を中心としたクラシックを愛好して聴いていたからでしょう。それで思い出したのが『カプリコン1』のテーマの冒頭です。ピアノとチューブラ・ベルを同時にならして面白い音色を引き出していました。今回入手した『マッカーサー』のメインテーマでは、冒頭でピアノがドラムがわりにリズムを叩いています。おそらくピアノの弦に上に何かを置いているか、物を挟んでいるのではないかと思います (もし詳細をご存じの方がいらっしゃったら、メールでも結構ですので、ぜひ教えていただきたく存じます) 。「ビビビン」という金属的な音が生み出されています。マーチ自体は因習的なんですが (イントロとエンディングは映画に合わせた工夫がしてあるのだろうな、と推測しています。まだ観てないので何とも言えませんが) 、こういったところに現代音楽からの影響があるのでしょう。
(2006.3.19.追記) :こちらの情報を見ると、ピアノの弦をドラム奏者が直接叩いたという可能性がありますね。なるほど。それならありえそうな音です。
ただ、いま因習的といったこのマーチも、マッカーサーという米国の軍人を主人公にした映画のための曲だと考えると、ちょっと不思議な感じがします。というのもマーチのスタイルがスーザではなく、アルフォードっぽいからです。ブラスの華やかなファンファーレ風の主題はなるほどアメリカ的ではありますが、「EbEb, D C-」というフレーズ以降はもっと穏やかな感じがします。
また通常行進曲が吹奏楽の編成を考慮して書かれている一方、これは明らかにオーケストラが考えられているようです。そうでなければこの行進曲のエンディングは、こんなに意味深にはならないように思われます。
ちなみにCDはVar�se Sarabandeからリリースされましたが、現在は廃盤のようです。
Contrasts in Brass Volume 2. Locke Brass Consort; James Stobart, conductor. Unicorn RHS 349 (LP).
収録作品:William Alwyn: Fanfare for a Joyful Occasion; Gordon Carr: "Dialogue" for Trumpet and Brass (James Watson, trumpet); Giovanni Battista: Buonamente; Rolf Scheurer: Scherzo; Pierre Max Dubois: Three Fanfare Prelues; Eugene Bozza: Overture for a Ceremony; Franz Lachner: Nonett; Salome Rossi (trans. by Samuel Adler): Psalm 92; Felix Mendelssohn (trans. by Geoffrey Emerson): Funeral March; Gordon Jacob: Salute to U. S. A.
日本でこの団体がどのくらい知られているのか全く分かりません、英語圏の掲示板を見る限り、このロック・ブラス・コンソートの活動は、おもに1970・80年代だったということのようで、このLPレコードもCDにはなっていないようです。しかしながら、私は個人的に昔から時々聴いてきたレコードで、ブラス・アンサンブルに興味のある人なら面白く聴かれるのではないかと思っています。
収録曲はモンテヴェルディの弟子だったと考えられるブオナメンテという作曲家が一番古いようで、2曲目のカーというイギリスの作曲家が1943年生まれで、最も最近ということになるようです。作曲者の国籍も、実に様々。ブオナメンテ作品はライナーにもある通りヴェネツィア楽派のカンツォーナやリチェルカーレを想起させる作風です (コーリ・スペッツァーティではなさそうですが) 。しかし、もともと木管か弦楽器のために書かれたと考えられているからか、若干違和感を感じてしまいました。
いっぽう私が割と好きなのは、カーの《対話》という作品です。空間性をうまく表現に使いながら、ミュート・ブラスやシンコペーションをいかした打楽器がポピュラー音楽の影響をうまく取り入れているように思います。ブラス・アンサンブルの可能性を考えるにはとてもよい作品でしょう。
1曲目のアルウィンのファンファーレも、はつらつとして楽しいナンバーです。打楽器が派手に入るので、PJBE的なブラス・アンサンブルから若干逸脱した印象もありますが、これも彼ら独自の形態と考えれば面白いです。
ユージン・ボザの《式典のための序曲》は、新潟時代に東京から来ていたホルン奏者の方がご存じでした。《ローマの松》の<アッピア街道>みたいな曲、と聞いたような気がします。確かに一部、似たような音型が出てまいります。スネア・ドラム、ゴング、トロンボーンの静かなセレモニアル・マーチ風のオープニングから豪快なフィナーレへと進む曲の構成も似てなくはないですね。
このボザという作曲家、1905年生まれということで、活躍時期は20世紀ですけれど、割とブラスの演奏家には知られた、親しみやすいが凝った作品を書く人ではないでしょうか。 少なくともホルンやトロンボーンには、多楽章形式による魅力的な作品を残していると思います。
演奏するロック・ブラス・コンソートの「コンソート」というのは結構クセモノなネーミングです。実態は大きめのブラス・アンサンブルに打楽器が加わったものという感じでしょうか。かつてフィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブルが《展覧会の絵》や《水上の音楽》を演奏した時の編成というのでしょうか。といっても、このPJBEほどの「ダブり」感はなく、比較的すっきりとした響きで爽快です。トランペット7、ホルン5、トロンボーン5、チューバ1、ティンパニー2、打楽器7というパーソネル表示がされておりますけれど、おそらく曲によって柔軟にその詳細が変わるのだと思います。
投稿者 cs3daime : 15:04
2006年3月16日
[Books] Music Downtown/Mancini Autobiography
Gann, Kyle. Music Downtown: Writings from The Village Voice. University of California Press, 2006.
自らニューヨーク・ダウンタウン・ミュージックの権威であると自負するカイル・ガンの著作集です (ここに書かれているように、Bang on the Canとジョン・ゾーンを知るファンからは、彼の「ダウンタウンを代表する作曲家」の選択には疑問が投げかけられているそうで、ガンはそういう意見を非常に強い調子で叩いています) 。12人のアーチスト (アシュリー、小野洋子、グラス、ブランカ、ラウスなど)へのインタビューと、各種エッセイ/レビューから構成されています。ただインタビューとはいっても対話形式では書かれておりませんで、エッセイ本文に組み込まれた形になっています。もともとはジュリアス・イーストマンの情報を得ようと注文した本ですが、『レコ芸』の締切には間に合いませんでした。まあ、でも、そのうち役に立つでしょう。
Mancini, Henry. Did They Mention the Music?: The Antobiography of Henry Mancini. Ed. by Gene Lees. New York: Cooper Square, 1989.
ディズニー・アニメ『オリビアちゃんの大冒険』を担当したということで、何か情報がないかと入手したヘンリー・マンシーニの自伝です。しかし言及はありませんでした。こちらも空振り。でもまあ、こちらも後に役に立つでしょう。実は先日『ティファニーで朝食を』を観ました。私も一応NYのティファニーの前は通ったことがあります。もちろん中には入りませんでしたが (^_^;;
ところでマンシーニは自分の映画音楽の著作権をスタジオに渡さなかったそうですね。なんでも自分で自由にアレンジすることを考えていたのだとか。『ティファニー…』の「サントラ」というのも、いわゆるスコアではなく、別録りのソング・アルバムだそうで、ヘップバーンの歌も入ってないそうです (マンシーニ最大の後悔なんだとか) 。で、自伝を読んでいたら、面白いですね。例の《ムーン・リヴァー》というのには、《ブルー・リヴァー》というタイトルも考えられていて、結局他にも同名の曲がたくさんあるからやめたそうです。《ムーン・リヴァー》というのにも、シンシナティーに同名のラジオ番組があるそうで、マンシーニは気になったそうですが、Johnny Mercerと相談して、歌のタイトルじゃないということで問題なしと考えたのだとか。へえ。それにマンシーニはヘップバーンの歌唱力を知らなくて心配したそうですが、フレッド・アステアと出演した映画 "Funny Face" を偶然テレビでみて安心したんだとか。あと、映画の試写を観て長過ぎるということになって、どこを削ろうかという議論になったところで、パラマウントの社長が「このクソみたいな歌はカットすべきだ ("Well, the f-- song has to go." 一部修正=筆者) 」と言ったとか。うわ~、カットしなくて良かったっすね。監督のブレーク・エドワーズも怒り心頭の様子だったそうで。ヘップバーンも体を乗り出していたとか…。
ただ、他の本を読んでたら、マンシーニが亡くなった時、ハリウッドはあまり彼のことを大きく取り上げなかったらしいですね。ラウンジ・ミュージックの人だとかソング・ライター、みたいな印象だったのかなあ。それとも映画音楽界も、案外スコア・コンポーザー>テューンスミスみたいな考え方してるんでしょうか。
ということで、2冊ともそれなりに面白そうなので、買ってよかったなあ、と思うことにしました。
投稿者 cs3daime : 21:22 | コメント (0)
2006年3月13日
[CD/Movie] Die Hard/The Big Country
Michael Kamen. Die Hard (OST). 米Var�se Sarabande VCL 0202 1004
おそらくサウンド・トラックというのは、実際の映画の中ではセリフや効果音に埋もれがちな音楽の微妙な扱われ方に注目したり、長い時間の中で捉えられなかったキューどうしの密接なかかわり合いを聴くためには有効なものだと思います。
私がこのサントラを聴いて感じたのは、《第九》第4楽章のアイディアが、例の金庫のシーンに先駆けて、かなり前から布石として出されていたということでしょうか (しかも、あちこちに散りばめられて) 。ドイツ=ベートーヴェン、そして日本の年末=《第九》という、二つの意味が見えてきます。
また、この映画では当初グルーバーたちの意図が何であるかが分からない/公にされないというサスペンスが魅力でもあり、全面アクションでないということも、音楽で改めて実感したところです。
私は少なくともアニメ音楽調査のために聴いた『アイアン・ジャイアント』よりは楽しめましたが、やはり旋律らしいものが少なく、徹底した「アンダー」スコアになっていると思います。映画では金庫のシーンの《第九》と最後のクリスマス・ソング以外特に音楽に注目しなかったと記憶しています。このことを音楽的に成功とみるか失敗とみるかについては判断が分かれるでしょう。
なおこのCDには、そのクリスマス・ソングであるボーン・モンローによる《Let It Snow! Let It Snow! Let It Snow!》が収録されていません (インストゥルメンタル・ナンバーとしての編曲版がかわりに収められています) 。また収録されているキューの順番も、かならずしも映画通りではないようです。ケーメンの意図に配慮した曲順になっているそうですが、映画のシーケンスに合わせて聴きたい人にはつらいかもしれないですね。
BS2で放送された『大いなる西部』を観ました。物語の舞台は大きいですが、その内容は実に繊細な人間ドラマという印象を持ちました。ヒスパニックの扱いには時代の制約もありますが、それでも争いの当事者はどちらもredneck (?!) ですし、親子関係・恋愛関係もうまく絡めてあります。
今回初めてみましたので、有名なテーマ曲以外、モロスのスコアについて考える余裕はありませんでした。しかしあまりメランコリックなドラマにならないように工夫してあるようには思いました。もちろん、多少アメリカのクラシック音楽について知っているつもりの私は、「西部」の響きというものをコープランドのバレエ音楽がどれほど規定したのだろうか、ということも考えました。といってもずっとコープランドというわけではありませんで、ドラマ的な熱さはしっかりとサポートされています。微妙にコープランド・テイストを織りまぜているという印象でした。またブルー・ノートをいやみなく混ぜる辺りは、CBSのために書かれたA Tall Story以来であるということも確認できました。
投稿者 cs3daime : 15:32 | コメント (0)
2006年3月 9日
[Misc.] とりあえず
原稿の改訂を行っています。
マーク・マンシーナ 『スピード』 OST 米20th Century Fox Film Scores 07822-11020-2
280円という値段につられてブック・マーケット上飯野店で購入しました。マンシーナの出世作のようですね。メイン・タイトルの動機をフルに活用し、全体にパワフルな音楽を作り上げています。映像なしでも楽しめる方のディスクだと思います。とあるサイトのレビューには「この頃はまだシンセサイザーが原始的で…」みたいなことが書いてありますが、私はそれほど気になりませんでした。また他の本によると、この曲は映画音楽のプロトタイプとして製作側の人が言及することが多いのだそうです。「ほら、あの『スピード』みたいなの」なんていう風に言われるんでしょうね。
エリック・カンゼルがシンシナティ・ポップスとメイン・タイトルを演奏したCDもありますが、そちらはいま一つ緊張感が漂わないように思いました。シンセの方が、リズム系にしてもシャープに出るのかもしれませんね。
諸井三郎 楽式の研究V:変奏曲 その他 音楽之友社、1968年
この第5巻を入手して、ようやく全巻が揃いました。小口に汚れがあったり赤ボールペンによる書き込みが最初の方にあったりもしますが、気にしない気にしない。その他はとてもきれいな状態です。
その他Ziegfeld Folliesのビデオ (米MGM/UA Home Video M600173) が届きました。例の高校の先生相手の講演会のネタになるかと購入したんですが、もう終わってしまいました (^_^;; まあ、そのうち役に立つでしょう。
American Record Guideの3~4月号が届きました。私が『レコ芸』で書かせていただいたディスクも取り上げられています。イーストマン (New World3枚組) 、ホヴァネス (Naxos) 、そしてライリー (New World, ARTE Sax. Q.) 。ライリーについてはサックス好き向けでライリーのファンにも勧めない、なんて書いてあります。そうかあ、やっぱり《暗殺者の夢想》が好きになれなかったんだなあ。あの中間部はちょっとライリーらしくないですしね。私はそれだから面白いと思ったんですが。そうそう、ライリーの「9・11」との関係についても、私と同じ疑問を持ってましたね。9・11後の世界云々と言われても、事件前に初演されていますから「アレ?」っと思ったんですよ (ライナーノートはpdfファイルになっていてダウンロードできますので、読んでみてください→New Worldのライリーのディスク案内) 。
ホヴァネスはやっぱりそれなりに評価してありましたが、イーストマンWEのもわざわざ言及していました。私ももちろん持ってはいるんですが、このMercury盤、フェネルの指揮じゃないんですよね (このレビューにも、フェネルではないことがちゃんと言及されてます。さすが) 。でもグールドの《ウェスト・ポイント交響曲》、ジャンニーニの第3交響曲が入っているのは確かに名曲揃いとはいえます。国内盤も安いですし、このレビューワーが言う通り、Naxosのホヴァネスと両方持つのも悪くないと思います。特集はショスタコーヴィチ概観の第2回目ですよ~。
そうそう、American Record Guideの3~4月号、私のは落丁がありました。241ページから 272ページがないんです。メールしたらすぐに返事が来まして、良品を送ってくれるということです。みなさんもお持ちでしたら、一度チェックしてみてください。私の他にも何人かが落丁本を受け取ったようで、原因は製本ミスなんだそうです。
投稿者 cs3daime : 00:05 | コメント (0)
2006年3月 5日
[CD/Book] Magnus Lindberg/Film Music
赤ボールペン・青ボールペンを使いながら、作業してます。ふへ~。
Magnus Lindberg. UR (1986); Corrente (1991-92); Duo concertante (1990/92); Joy (1989-90). Ensemble InterContemporain; P・ter E・tv・s, conductor. IRCAM (Ad・s) 203.582.
トータル・セリエリズム、アレアの音楽、ミュジーク・コンクレート、フリー・ジャズの突発性、ロックのリズム的エネルギーの融合…。なるほどねえ。アメリカでこういう「融合」というと、「どっちも使ってます」っていう風に2つ以上のものを、各々分かりやすくみせびらかさなければならないんですけど (^_^;; 、この作曲家の場合は、自己の作風の核がちゃんとあって、それが自然とセリエル、アレア、フリー・ジャズ etc. etc. と一緒になった、という印象ですね。エネルギッシュでエレガント。演奏も素晴らしい。
Prendergast, Roy M. Film Music: A Neglected Art. 2nd ed. New York: Norton, 1992.
おそらく現在は教科書として使われているということはないと思うのですが、歴史資料として面白いのではないかと思ったりしています。ラクシン、コープランド、ロージャ、ハーマンなどの譜例 (『サイコ』の例の箇所もあり) も、短いながら引いてありますね。おそらく第1版が出た時は画期的だったんではないかと察します。
あと、この本はカートゥーンの音楽についても章を設けているのが特徴です。ディズニーについての議論はないのですが、スコット・ブラッドリーの譜例が引いてあります ("The Lost Chick," "The Cat Concerto, " "Heavenly Puss")。ず~っと前にフロリダで出会った、『トムとジェリー』の音楽で論文を書くとか言ってた日本からの交換留学生、知ってたかなあ、この本…。
その他、なぜか先日買った『ストレンジ・デイズ』4月号などをながめております。特集の「バート・バカラック」「ロック・オペラ」という見出しに負けてしまいました。E. バーンスタインの《大脱走》 (OST) も昨日届きましたし、あとはジェリー・ゴールドスミスのラジオ・インタビューなど…。
投稿者 cs3daime : 15:45
2006年3月 1日
[Misc.] いろいろと、やってます
ここ数日『バンビ』や『ダンボ』にかかりっきりの状態でした。先日複写したRoss Careによる『バンビ』のアンダースコアに関する論文…というのかな…がとても面白かったです。少なくとも議会図書館に残っているアーカイブ資料にアクセスして細かく書いてますし、後半のスコアの分析も具体的に譜例が引いてあります。ただ映画全体における音楽がロンド形式だというのは、ちょっと無理があるかなあ。だって最初から最後までオーケストラが鳴りやまない訳ではありませんし、それぞれのキューにはそれぞれに役割や音楽スタイルがあるのですから。むりにクラシックの形式を当てはめなくてもいいのではないかと思いました。「Musical Structure: "Pastoral"」という記述も若干気になるところではあります。
『101匹わんちゃん』のソング・ライターMel Levenのドーナツ盤 (Verve) も届きました。"Fight On For Old" と" 3 Horned Flink"の2曲です。楽曲解説も何もないのですが、ミュージカルか映画かの一場面といった感じの内容でした…というところでちょっと調べてみたら、両方とも "The Gerald McBoing Boing Show" というカートゥーンのための歌だったようです。
その他、『レコ芸』のボルコムとホヴァネス盤レビューなど。
ところでアメリカの歴史家ハワード・ジンのインタビュー、久しぶりに読みました。
とりあえず、面白いと思った箇所2つほど--
"From a larger moral point of view, of course, we didn't belong there in the first place, we don't deserve to be there. Even if we were winning, it would be an immoral victory."
"So the real question, the moral question is not "are we losing or are we winning?" The question is, "why are we there?"
また、今日mixiを徘徊 (?) していたら、テレビドラマ『ナイトライダー』のコミュニティーというのがあるのを発見してしまいました。参加はしなかったんですが、いや~よく観てましたねえ、このテレビ番組。アメリカに渡ってからも、よくみてた (^_^;; 主演のデヴィッド・ハッセルホフってドイツでは人気あるんですってね (彼がドイツに行った時の模様が放送されたことがあって、もうアイドルみたいな扱いだったような記憶があります) 。彼はこの後 "Baywatch" で新たなファンを獲得したんでしょうけど、私はあまり、そっちの番組は好きじゃなかったなあ。
エピソードで何となく覚えているのはデヴォンの偽物が出てきた回とか、キットの悪魔版みたいなのが出てきたとか、本当にキットが死んじゃった? みたいな回でしたかねえ。もうだいぶ前だから、忘れちゃった…?