2008年1月14日

雑感・感想

武満徹が著書『夢の引用』で、フェリーニが「シネマ・ヴェリテ」に対し「”映画の嘘つき”のほうがいい」と語った一節を引用していた。とっさに思い出したのは、小沢昭一による放送大学「芸能と社会」の一エピソード、「テレビの社会学」である。小沢は、テレビという媒体が役者のありのままをさらけ出す表現を助長し、その結果、「作る」ことが難しくなったと歎いていた。

もちろんテレビに映し出されるタレントの馬鹿笑いや暴言というのは、視聴率を稼ぐための「芝居」であるかもしれない。しかし、そうはいっても、演劇や映画で行なうような「芝居」とは明らかに違うことは確かだ。いかにも自分たちの身の回りにいる人が何かを言っているというような「装い」をするに違いない。

誰が語ったか忘れたが、アイドル・タレントが「天上」の存在ではなく「身近」なものとして現れるようになったという。これにはテレビが家族全員の団らんの中で共有される娯楽ではなく、一人一台という受像機という地位にテレビが君臨した (あるいは陥った) ことによるところが大きいと、その人は言っていた。

秋山邦晴『日本の映画音楽史1』 (田畑書店)

日本の映画音楽の研究者になろうとは思わないけれど、とりあえず基礎文献くらいは押さえておきたいと思い入手。インタビューを交えた貴重な資料であることは間違いなさそうだ。秋山は『キネマ旬報』にも連載を長く続けている。少しずつそっちの方も読んでみたいものだ。

Gian Carlo Menotti, Amahl and the Night Visitors (VAI, DVD)

この作品がアメリカでクリスマス・ストーリーとして評判になったというのは納得できる作品である。しかしキリスト教国でない日本では、どのくらい受け入れられるのだろうか。神の救い、奇蹟、イエスを求める巡礼の旅。演技もなかなかだ。

小さな編成で、45分ほどのオペラ。しかしそこには、言葉が生きたささやかな物語があり、踊りがある。

ただメノッティは、自分が演出にかかわれなくなってからのプロダクションにかなり不満を抱いていたらしい。確かカラー映像もビデオで持っていた。あれはいつの放送だったんだろう。

投稿者 amekura101 : 10:47 | コメント (0)

2006年5月 9日

[Books] 戦前の歌曲集など

5月7日夕方、ディズニーの原稿、出来たところまで、編集者に送付。とりあえず、このまま続行です。DVD7枚+α分のミッキー短編、まだ観ていないのが1つ残っていて、慌てました (^_^;; 『シリー・シンフォニー』をもうちょっとやらないと。

同日昼間、市民プラザで行われていた「富山CD & レコードセール」へ行ってまいりました。富山と金沢の中古レコード店が集まって、いろんなジャンルのCDを置いていました。クラシック以外のジャンルについて、もっと知っていれば、もっと買うものがあったと思いますが、とりあえず持ってなかった『ファンタジア』 OST (3,000円、これはBook Market上飯野店に、もっと安いのがあったかも) と、As Disc から出ていたアーサー・ロジンスキー/NYP のモーツァルト集 (500円) を買ってきました。後者はAS 611という番号で、Pf Conc. 23 (シュナーベル pf)、《アイネ・クライネ…》、Sym. 35 《ハフナー》という組み合わせです。

(06.05.19. 追記) ロジンスキーのファースト・ネームは、「アルトゥール」だとご指摘をいただきました。ありがとうございます。シュナーベルが途中で止まってびっくりしたのですが、こういうことは少なくなかったそうです。

その後、会場近くの古書店にも寄ってまいりました。今回は戦前の軍歌、流行歌集をみつけ、購入しました。

・辻 順治 監修 『標準軍歌集』 (昭和8年版)、野ばら社、1933年2月。
・「童謡・唱歌・流行歌全集」、『婦人倶楽部』 第17巻第1号 (1936年1月) 新年号付録。
・『新しい流行歌謡曲』、新興音楽出版社、1940年12月。

ある意味「男の軍歌」「女性のための歌」というコントラストのはっきりした上2冊が面白いかも。当時の望まれる男性/女性像というか。そのうち画像もアップロードしてみたいです。

正月の歌と思っていた《一月一日》が『標準軍歌集』 の2曲目というのも、ちょっと驚きだったかもしれません。あ、もちろん1曲目は現在の日本国歌です。昭和17年版というのもあるそうですが、おそらくその冊子には英米国歌は載っていないでしょう。でもこの《米國國歌》は、《星条旗》じゃなくてHail, Columbiaなんですよねえ。

2冊目は楽譜がないのですが、歌の主題に合わせた絵が時代を感じさせ、私の祖母 (大正13年生まれ) なんかは、結構感動していたようです。「学校で習った曲」も多く収録されているようですし。

3冊目は映画の主題歌が多めに載っているようで、こちらは私の祖母も知らない曲が多かったそうです。「映画館で働いていた○○ちゃんなら知ってるかも。」みたいなことを言ってました。

古書店の後は、総曲輪通りから西町スクランブル交差点を渡り、西町カレーへ。880円のサンプラー的なセットは、多少作り置きの感は否めないものの、それなりに美味。特にバターがたっぷり目に塗られたナンが好きです。次回はカレーのみのオーダーにしようと思います。

投稿者 amekura101 : 18:38 | コメント (0)

2006年4月 9日

[Books] 黒澤-早坂、Musical Exoticism

西村雄一郎 『黒澤明と早坂文雄--風のように侍は--』 筑摩書房、2005年

Booksなかだ掛尾店で購入しました。資料調査の確かさを感ずる一方、「ノンフィクション」っぽい伝記スタイルであるがために、学問対象として引用する時にはそれ相当のリテラシーが問われるんじゃないかという印象がします 。おそらく学術書でない (?) ので注や文献表がないということなのかもしれませんけれど、個人的にはそういうのがあった方が、後々のために良かったのではないかと思ったりもします。いずれにせよ、価値のある本だと思いました。勉強させていただきます。

Bellman, Jonathan, ed. The Exotic in Western Music. Boston: Northeastern University Press, 1998.

音楽における民族ステレオタイプの創出について関心を持ち始めたので購入。やはり「インディアン音楽」を扱ったMichael V. Pisaniの論文に興味を持っています。あのタムタムのリズムには案外古い歴史があるのですね。あ、映画音楽に関する記述は、一言触れた以外、まったくありません。

昨日はミッキーマウスのカラー・シリーズ、ドナルド年代順コレクションの第2弾 (2代目ドナルドの声優さんのインタビューが面白かった) 、今日は午後からディズニーの『メロディー・タイム』についてのメモ取りしました。やっぱりリージョン1の機械を買ってよかったなあ。引き続きポール・クレストンCDも聴いています。シュワルツ第2集 (Delos) を改めて。

その他、『STEREO SOUND』誌を立ち読み。市立・県立図書館からは、蓮實重彦さんの本など 。友人から届いたカーメン・ドラゴンとグレンデール交響楽団についての雑誌記事もながめております。映画は『オーメン』。奇をてらわない古典的ホラー映画ということになるのかもしれません。後にじわじわと残る怖さがありますね。この映画のサントラに聴くような音楽も今でこそいっぱいあるような気がしますが、やっぱり当時はインパクトあったんでしょうね。ゴールドスミスは監督に問われて「声が必要だ」と勢いで言ってしまって、後で困ったといういうエピソードがあるそうですが。しかしまあ、カーフ・オルフもびっくりというところでしょうか。CDはラロ・シフリン『燃えよドラゴン』 OST (Expanded ed.)

時間があったらDan BrownのAngeles & Demonsが読みたくてたまらないです。初日は120ページちょっとを一気に読んだんですが…。

投稿者 amekura101 : 20:09 | コメント (0)

2006年3月16日

[Books] Music Downtown/Mancini Autobiography

Gann, Kyle. Music Downtown: Writings from The Village Voice. University of California Press, 2006.

自らニューヨーク・ダウンタウン・ミュージックの権威であると自負するカイル・ガンの著作集です (ここに書かれているように、Bang on the Canとジョン・ゾーンを知るファンからは、彼の「ダウンタウンを代表する作曲家」の選択には疑問が投げかけられているそうで、ガンはそういう意見を非常に強い調子で叩いています) 。12人のアーチスト (アシュリー、小野洋子、グラス、ブランカ、ラウスなど)へのインタビューと、各種エッセイ/レビューから構成されています。ただインタビューとはいっても対話形式では書かれておりませんで、エッセイ本文に組み込まれた形になっています。もともとはジュリアス・イーストマンの情報を得ようと注文した本ですが、『レコ芸』の締切には間に合いませんでした。まあ、でも、そのうち役に立つでしょう。

Mancini, Henry. Did They Mention the Music?: The Antobiography of Henry Mancini. Ed. by Gene Lees. New York: Cooper Square, 1989.

ディズニー・アニメ『オリビアちゃんの大冒険』を担当したということで、何か情報がないかと入手したヘンリー・マンシーニの自伝です。しかし言及はありませんでした。こちらも空振り。でもまあ、こちらも後に役に立つでしょう。実は先日『ティファニーで朝食を』を観ました。私も一応NYのティファニーの前は通ったことがあります。もちろん中には入りませんでしたが (^_^;; 

ところでマンシーニは自分の映画音楽の著作権をスタジオに渡さなかったそうですね。なんでも自分で自由にアレンジすることを考えていたのだとか。『ティファニー…』の「サントラ」というのも、いわゆるスコアではなく、別録りのソング・アルバムだそうで、ヘップバーンの歌も入ってないそうです (マンシーニ最大の後悔なんだとか) 。で、自伝を読んでいたら、面白いですね。例の《ムーン・リヴァー》というのには、《ブルー・リヴァー》というタイトルも考えられていて、結局他にも同名の曲がたくさんあるからやめたそうです。《ムーン・リヴァー》というのにも、シンシナティーに同名のラジオ番組があるそうで、マンシーニは気になったそうですが、Johnny Mercerと相談して、歌のタイトルじゃないということで問題なしと考えたのだとか。へえ。それにマンシーニはヘップバーンの歌唱力を知らなくて心配したそうですが、フレッド・アステアと出演した映画 "Funny Face" を偶然テレビでみて安心したんだとか。あと、映画の試写を観て長過ぎるということになって、どこを削ろうかという議論になったところで、パラマウントの社長が「このクソみたいな歌はカットすべきだ ("Well, the f-- song has to go." 一部修正=筆者) 」と言ったとか。うわ~、カットしなくて良かったっすね。監督のブレーク・エドワーズも怒り心頭の様子だったそうで。ヘップバーンも体を乗り出していたとか…。

ただ、他の本を読んでたら、マンシーニが亡くなった時、ハリウッドはあまり彼のことを大きく取り上げなかったらしいですね。ラウンジ・ミュージックの人だとかソング・ライター、みたいな印象だったのかなあ。それとも映画音楽界も、案外スコア・コンポーザー>テューンスミスみたいな考え方してるんでしょうか。

ということで、2冊ともそれなりに面白そうなので、買ってよかったなあ、と思うことにしました。

投稿者 amekura101 : 21:22 | コメント (0)

2006年1月20日

歴史、資料

Richard J. Evans. In Defense of History. New York: Norton, 1997.

音楽ではなくて歴史学の本。ちょっとした合間に覗いているという感じ。いま読んでいるのは歴史における「事実」とは何かという問題を扱った章である。実例が引いてあるので、具体的であり、いちいちうなずいて読んでしまうところがある。いま記憶に残っている部分では、アーカイヴの資料として何をどのように取捨選択するのかという箇所が面白かった。アーカイヴィスト自身も、実はdocuments (text?)選択の段階でpre-conceived ideasを投入してしまうことが、確かにあるのだ。エヴァンズが探していたドイツの資料が危うくアーカイヴィストによって捨てられようとしていたのはすごい。アーカイヴィストがそもそもいないというのも歴史資料が収集・集積されないという問題になりそうだが、そういうアーカイヴィストがいても、歴史の全体像を認識するのは難しいものだと思った。

次はもうちょっと哲学的な、deconstructionどうとかの話。世の中に起こっていることすべてが所詮textであったとしても、実際には科学的な?証明によって、後々必ず同じように繰り返されるtext (あるいは繰り返されると多くの人が考えている textのようなもの?)と、そうでない全くcapriciousなtextがあるように思う。つまりtextにも何かしらの階層性を我々は認めているのではないか、あるいはそういうtextの中で我々は生きているのではないかと思われるのだけれど、どうだろうか。あれ、そうすると、やっぱりcontextが必要になる? textはcontextによって作られる、ということをimageする? でも何かしらコミュニケーションが設立しているように見えて生活が進むというのは、共通理解とは…う~んソシュールでも読み直せってか? え、textって用語の使い方が間違ってる?  (恥) いや、history と storyの違いとか、いろいろあるからなあ。

よく分からないけど、この本は面白そうだ。

ちなみに邦訳もあるようだ↓

投稿者 amekura101 : 22:21 | コメント (0)

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